研究課題
本テーマの目的は、腫瘍組織由来の細胞群から薬剤耐性の細胞あるいは悪性がん細胞(浸潤細胞)を選び出し、テーラーメード検査に用いる細胞材料を提供することである。H26年度は、本テーラーメード検査用の光分解型培養基材の合成を行い、細胞分離が可能な培養基材を開発し、H27年度には、クリック反応による光分解型ゲルの合成を行うことで、生理活性物質を添加できるとともに、細胞の浸潤挙動をより観察しやすいゲルを開発した。本年度は、化学発がんマウス腫瘍由来の細胞を用いた検討を実施するとともに、前年度まで改良してきたゲルを用いてマウス乳がん由来細胞の薬剤感受性試験、あるいは細胞の形態とがん細胞悪性度の関係を検討した。マウス乳がん由来細胞を光分解型ゲル中で培養し、増殖した細胞の増殖形態を基に、顆粒状細胞とコロニー状細胞の2種類の細胞に分類した。光照射により標的細胞周囲のゲルを分解し、目的とする2種類の細胞を得て実験に用いる細胞を樹立した。このとき、種類ごとに2回同様の作業を行い、細胞分離を行わない母株も併せて合計5種の細胞株を実験に用いた。これらの分離細胞を用いて、光分解性ゲル中の細胞形態とがん悪性度に関して検討を行った。光分解性ゲル中で顆粒状に増殖した細胞はスフェロイドを形成せず、コロニー状に増殖した細胞はスフェロイドを形成した。また、これらの細胞をヌードマウスに移植すると、コロニー状の細胞は皮下で腫瘍を増大する性質が強く、顆粒状の細胞は移植部から他の臓器へと転移し易い性質を示すことが分かった。一方で、薬剤感受性と細胞の形態についても、薬剤の種類によっては関連し得るデータを得た。更なるメカニズムの解析、細胞の形態と薬剤感受性あるいはその背景となる遺伝子発現・変異の検討などは今後の研究課題として残った。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Scientific reports
巻: 7 ページ: 43667
10.1038/srep43667