研究課題/領域番号 |
14J07304
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山口 将希 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | 軟骨再生 / 細胞移植 / 運動 / 基礎研究 / 軟骨欠損 |
研究実績の概要 |
研究①では、自己再生力に乏しい関節軟骨の再生に関する研究を行っており、ラット大腿骨より間葉系幹細胞を採取し、単層培養にてラット膝関節への移植量に必要な細胞を培養した。膝関節の軟骨を損傷させたラット膝関節に細胞を移植し、軽度な運動群と非運動介入群とに分けて飼育を行った。飼育後、ラットを安楽死させ大腿骨を摘出。大腿骨サンプルを1)対照群2)運動群3)MSC群4)MSC+運動群の4群に分類した。関節軟骨を通常の組織染色法にて観察し、軟骨修復スコアを評価した。またⅠ型、Ⅱ型コラーゲンの免疫組織化学染色にて染色を行い組織観察を行った。介入4週間後、細胞を移植した群では欠損していた部位の関節軟骨は再生スコアが有意に回復しており、運動を併用した群では移植のみを行った群に比べても有意にスコアの改善が見られた。またⅡ型コラーゲンの発現も移植に運動を併用した群では広範囲で発現していた。以上の結果より細胞移植後の運動介入は関節軟骨の再生を促進させることが示唆された。 研究②では、細胞移植後の介入を①とは異なる物理刺激として、低出力超音波刺激介入を行うことによる軟骨の再生を組織学的に評価した。その結果、細胞移植したことによる軟骨再生スコアの改善は見られたものの、研究①で見られたような、細胞移植と低出力超音波刺激を併用することによる効果は再生スコアの結果では限局したものとなっていた。より多面的な結果を抽出するために、現在マイクロCT画像での軟骨下骨の修復を評価するとともに、移植した細胞の欠損部位に対する定着を見るための研究を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究①における間葉系幹細胞移植と運動介入による軟骨再生に関する研究は、短期的な結果に加え、現在中期的な結果を得ることができ、国際学会においても発表を行っている。論文については、筆頭著者として論文作成を行っているが、受理には至っていない。研究②における間葉系幹細胞移植と物理刺激効果による軟骨再生に関する研究は、本年度、国際学会にて発表することとなっており、また研究①で得られた結果を踏まえ、さらに解析項目を増やした結果を国際雑誌に論文として投稿する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究①に関して、移植した細胞の欠損部への定着を確認し、短期から中期的な結果をまとめて国際誌での論文掲載を目標とする。研究②に関しては軟骨の組織学的な結果だけでなく、マイクロCT撮影による軟骨下骨の評価を行い、骨軟骨の再生の結果をまとめて国際誌への論文投稿を行う。 研究①、②により移植後の運動が再生に影響を及ぼすことが示唆されたため、運動の開始時期による影響の違いを検討するとともに、軟骨下骨の評価を行う。また、生化学的な評価を行うことで、運動が再生に影響をおよぼしたメカニズムについて探索を行う。
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