前年度(1年目)には、発生過程における中心体の新規形成機構を解析するツールとしてSAS-6 KOマウスを作出し、その表現型を確認した。また、マウス初期胚における解析と相補的なアプローチとして、in vitro系と培養細胞を利用した系を利用し、中心小体形成の鋳型となるカートホイール構造形成の分子機構の解析に着手した。当年度(2年目)は、カートホイール構造形成の核となるSAS-6-STILの分子相互作用の解析を中心に、超解像顕微鏡を用いてこれらの分子の動態観察を行った。また、分子をタンパクレベルでノックダウンできるAID法を用いて、SAS-6-AID細胞を作出し、中心小体形成における時期特異的なSAS-6の機能の解析をおこなっている。 これらの分子は、胎児の発生に必須の遺伝子であり、また中心体の過剰複製による細胞のがん化にも関わることが示唆されている。本研究により、中心体形成開始のメカニズムの一端が明らかになることで、病態の理解が進むことが期待される。
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