本研究員の研究「帝国のアンザイエティ―1923年関東大震災時の人々と情報の移動に注目して」は、1923年関東大震災時における人々と情報の移動、特に東アジアにおける情報の移動を明らかにする研究である。そのため、本年度は日本・朝鮮・中国の間での情報の越境的移動に注目した資料調査・収集に取り組んできた。まず、主な研究調査として韓国国史編纂委員会図書館に行って関東大震災関係資料を収集した。関東大震災に関連する韓国の資料としては、朝鮮総督府の資料が韓国に残っているため、韓国の図書館にある関係資料を集める研究調査を実施した。さらに、中国の上海市档案館と上海図書館に行って関東大震災関係資料を調査した。また、研究内容としては震災時の情報の移動に焦点を当て、関東大震災時における日本政府と朝鮮総督府の「情報処理」というテーマに注目して研究を進めた。そのため、資料分析と論文執筆に集中しながら、資料調査に基づいた研究成果を学会やコロキウムで発表した。特に、本研究は朝鮮人虐殺をめぐる情報の移動という観点から政府の事後処理に注目し、これまでの資料調査に基づいた資料分析をもって、関東大震災時に日本政府と朝鮮総督府がどのように情報を処理したかを分析しようとした。すなわち、関東大震災時の「情報処理」プロセスを、日本本国の中央政府のみならず、植民地朝鮮の朝鮮総督府においての「情報処理」のプロセスを明らかにする研究を進めた。
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