研究課題/領域番号 |
14J07367
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
佐藤 友紀 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | サプライチェーンマネジメント / 物品管理 / 情報システム / GS1 EPCglobal / RFID |
研究実績の概要 |
査読有り国際会議APCC2015(The 21st Asia-Pacific Conference on Communications)にて「Boxcan: A Platform Realizing Fast Retrieval of Parent-Child Tree of Containers and Inner Objects Over EPCIS Events」の題で前年度より継続している研究プロジェクトの成果を発表した。これは、研究課題であるリアルタイムSCM情報システムアーキテクチャにおいて個体識別番号を付されたモノの情報を収集するリポジトリについて、既存の国際標準で定められている機能を拡張して情報の検索性を高めたものである。国際標準に準拠した情報システムが持つ汎用性を損ねずに、リアルタイムSCM情報システムにおいて求められる機能を実現していることが特徴である。尚、本研究発表は、前年度に電子情報通信学会SIS(スマートインフォメディアシステム)研究会にて研究発表を行った内容を再編して投稿・採択されたものである。 RFタグを付したモノのグループの完全性検証手法(以下「RFタググループ符号化」と称する)について、本手法の改良、特に高速化への取り組みを開始し、継続中である。本手法は、グループを構成するRFタグにそれぞれの個体識別番号とは別にグループの情報を書き込んでおき、当該グループを読み取る際に外部の情報システムとの連携なしにそのグループの完全性検証を行う手法であるが、その問題点としてRFタグに対する追加情報の読み書きが実行時間全体におけるボトルネックとなっていることが挙げられ、これを解消する為の検討を継続中である。 国際標準化団体GS1の年次フォーラムであるGS1 Global Forum 2016に参加し、標準化コミュニティにおいて推進している研究プロジェクトの成果の公知を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画に記載した内容のうち、上述したRFタググループ符号化におけるその性能に関する理論的検討については、他の研究グループから関連する研究が挙がり始めており、それらの調査検討を行っている段階である。研究実績欄に記載した高速化検討は、これとは別に着手、継続している。 研究計画に記載したもう一方の要素であるリアルタイムSCMシステムを評価するシミュレータの開発に関しては、それ自体は研究的側面が薄いことから中断し、これを用いて行う予定であった以前の研究にて構築した情報システムの評価については別に行って対外発表(研究実績欄にて記載のAPCC2015における発表)を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績欄にて述べたRFタググループ符号化について、改良・高速化の取り組みを継続する。具体的には、米国Impinj社製のRFIDリーダライタSpeedway を用いた本手法の再構築が進行中である。当該機器はRFタグに対する情報の読み書きに関連する機能のプログラマビリティが既存の実装にて用いていた機器と比較して高く、適切に設定・制御することによりRFタグに対する情報の読み書きの高速化が期待できる。またこの再構築においては、機器を変更した既存手法の単なる再実装だけに留まらず、グループ符号化により得られる欠落した(まだ読み取られていない)個体識別番号を元にしたRFタグの読み取りの最適化を検討中である。また、実環境において本手法を適用するにあたって発生する問題点をこの再構築で洗い出し、今後それらの問題についても取り組む。 また、上述したRFタググループ符号化を含む特別研究員奨励費採用期間中及びそれ以前より取り組んでいる研究要素について、それらの位置付けを明らかにしつつ研究課題であるリアルタイムSCM情報システムアーキテクチャを取りまとめ、これに関連して発生する他の研究要素についても取り組む。
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