研究課題
本研究は高齢者の貧血と健康寿命の関連を検討するとともに、食生活面から高齢者の貧血予防策を明らかにすることを目的に、平成27年度は以下2つの研究課題を検討した。【課題1】平成15年~23年における国民健康・栄養調査のデータを用いて、高齢者の貧血の年次推移と食生活との関わりを検討した。その結果、貧血を有する高齢者の割合は、男性では、平成15年で24.1%、平成23年で20.9%であり、女性では、平成15年で26.2 %、平成23年で19.8%であった。年齢階級別に貧血を有する高齢者の割合をみてみると、65歳以降加齢とともに増加した。また、高齢者を貧血の有無により2群に分け、栄養素等摂取量および食品群別摂取量(粗摂取量およびエネルギー調整済み摂取量)を比較した結果、男女ともに貧血有群が貧血無群に比べて、エネルギー摂取量、たんぱく質をはじめとした多くの栄養素や食品群の摂取量が有意に少なかった。【課題2】平成26年度の研究結果より、食品摂取多様性得点が高いことと貧血との横断的関連が明らかになった。これらの関連をより詳細に検討するうえで、今年度は、貧血と密接に関連する血中のビタミンB群(葉酸、ビタミンB12)およびホモシステイン濃度と食品摂取多様性得点との関連を検討することとした。その結果、食品摂取多様性と血清葉酸、血清ビタミンB12とは正の関連がみられ、ホモシステインとは負の関連がみられた。これらの結果から、75歳以上の後期高齢者数が今後急増する我が国において、高齢者の貧血予防が今後益々重要になるとともに、食生活面からの貧血予防策として多様な食品摂取が関わる可能性が示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Nutrition, Health and Aging
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10.1007/s12603-015-0632-7
10.1007/s12603-016-0726-x
「臨床栄養」別冊JCNセレクト11
巻: 11 ページ: 107-114
介護福祉・健康づくり
巻: 2 ページ: 76-80