研究課題
本研究は中心体複製開始点における分子基盤の解明を目的とする。中心体は1対の母・娘中心小体から構成され、細胞周期に1度、1コピーのみ複製する。この厳密な複製制御によって1細胞に1中心体となるよう数が保たれている。本研究では複製初期に機能を持つPolo-likeキナーゼ4(Plk4)、STIL、HsSAS-6の3因子に注目し、ヒト培養細胞を用いて解析した。 また、当該年度の後半は米国カリフォルニアサンディエゴ校にて、線虫(Caenorhabditis elegans)を用いて解析を進めた。昨年度までに、中心体の複製開始時にPlk4の中心体局在が1点に限局化されること、その制御には複製前駆体の構成因子であるSTILおよびHsSAS-6が関与することを明らかにした。さらにSTILのC末端にある生物種間で保存された領域(TIM領域)が、Plk4の限局化を制御する可能性を示唆してきた。今年度は生化学的な手法により、精製した組換えタンパク質STILのTIM領域が、Plk4を直接制御し、活性化することを見出した。これら一連の発見により、中心体の複製前駆体因子であるSTILが、Plk4によりリン酸化されて前駆体構造を構築するとともに、Plk4自体の活性も制御することで、中心体のコピー数を限定することを明らかにした。当該年度後半は、ヒト培養細胞の解析で明らかにした分子機構の進化的な保存性を調べるため、線虫を用いて解析を進めた。中心体複製に関わる主要な因子は生物種間において保存されており、ZYG-1キナーゼ、SAS-5、SAS-6はPlk4、STIL、HsSAS-6の線虫ホモログとして知られる。これら因子の分子間相互作用やZYG-1の活性化機構を調べるため、遺伝学的解析と生化学的な解析を進めた。これまでの遺伝学的解析からSAS-5のC末端にもZYG-1を活性化する機能を持つことが示唆されている。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Elife
巻: 6 ページ: e20353
10.7554/eLife.25358
Current Biology
巻: 26 ページ: 1127-1137
10.1016/j.cub.2016.03.055