研究課題/領域番号 |
14J07556
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高松 亮太 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 賀茂真淵 / 上田秋成 / 春雨物語 / 金槐和歌集 / 石川依平 / 栁園詠草 / 和学 / 国学 |
研究実績の概要 |
本年度は、賀茂真淵や上田秋成、またその周辺の和学者たちの自筆資料や筆写本、奥書資料、書入資料などを調査し、詳細に検討することを通して、真淵学の近世中後期における受容のありようを把握することに努めてきた。本年度調査に赴いた所蔵機関は、大東急記念文庫(東京都)、柳沢文庫、天理大学附属天理図書館(以上、奈良県)、大阪府立中之島図書館、京都大学附属図書館、西福寺(以上、京都府)、嵐牛蔵美術館、浜松市立大東図書館、賀茂真淵記念館(以上、静岡県)、舟津神社(福井県)、西尾市岩瀬文庫、名古屋市蓬左文庫(以上、愛知県)などである。以上の機関で関連する資料の閲覧や複写を行い、それらの調査をもとに以下の研究成果を上げることができた。 ①上田秋成の『春雨物語』や学問的著作における、賀茂真淵の中世以後の和歌史観の影響を具体的に解明するとともに、その史観が時間的・空間的周縁と不可分であること、さらにその史観に基づき「目ひとつの神」が構想されているという、創作方法の一端を明らかにした。②その秋成も書写・抜粋を行っており、現在報告者の調査によって70点を越える諸本の伝存が明らかになっている真淵評語本『金槐和歌集』をめぐって、伝播の要因の一つと考えられる実朝歌に対する真淵書き入れの特色の分析と、評語本に合綴されることの多い真淵による実朝評の推敲過程の割り出しを進めた。③真淵門流の動向をめぐって、特に孫弟子に当たる石川依平の知られざる伝記と周辺の和学者たちとの交流の諸相を、依平少年期の紀行『道の記』(嵐牛蔵美術館蔵)や、掛川市立大東図書館や報徳図書館に所蔵される稿本『栁園詠草』の記事などに基づいて描き出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、近世中後期における真淵学の広がりと、上田秋成を中心とした上方文壇における真淵学受容の様相の解明に重点を置いているが、前者に関しては、以前から進めてきた真淵評語本『金槐和歌集』を対象に、全国の図書館への調査を通して、伝播の様相とその理由の把握に努めるとともに、真淵の孫弟子に当たる石川依平の少年期の知られざる活動を明らかにした。また後者に関しても、秋成の歌論における真淵学の影響を具体的に指摘することができており、いずれの課題についても一定の成果を収められたと認識している。 本年度内に発表した成果そのものは、研究発表1つのみだが、既に掲載が決定している論文が1点あるほか、資料調査によって研究課題に関する資料の収集が順調に行えていること、また本年度の調査に基づいた成果発表の準備も進んでいることなどの理由により、おおむね予定通りに進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き真淵学関連資料の調査・収集を行い、近世中後期における真淵学伝播の様相を分析してゆくとともに、上田秋成とその周辺の歌論や創作活動における真淵学の影響という、学説継承・知的交流の面についても分析する。併せて真淵の孫弟子石川依平の家集の稿本を翻刻し、真淵門流の具体的な交流の有様も明らかにしてゆく。 なお本年度および次年度における研究成果の公表は、学会発表および論文の形で公表する予定である。
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