研究課題
NK細胞は細胞表面に強くTim-3を発現しているが、その機能についてはまだ不明な点が多い。本研究で私は、マウスNK細胞をIL-2,IL-18などのサイトカイン、または、Tim-3のリガンドであるGalectin-9で刺激するとTim-3陽性NK細胞がIFN-γを産生することを確認し、マウスNK細胞に発現されたTim-3はT細胞に発現されたTim-3とは異なり抑制性受容体ではなくむしろ活性化受容体として機能していることを確認した。また、NK細胞の細胞傷害能を癌細胞との共培養で測定すると、Tim-3を阻害した方が細胞傷害能が上昇した。このことから、NK細胞の細胞傷害能の面ではTim-3は抑制性受容体として機能していることを確認した。以上より、マウスTim-3はNK細胞を、サイトカイン産生の面では正に、細胞傷害能の面では負に制御するという二面的な制御を行っていることを発見した。また本研究を遂行する途中で、アカゲザルTim-3にも交差活性を持つ抗Tim-3抗体を発見した。Tim-3はT細胞の活性を強く抑制することから、Tim-3経路を阻害することでT細胞を再活性化する方法が新たな免疫療法として提唱されていたが、アカゲザルのTim-3を検出する方法が今まで存在しなかったことが新規療法の開発に大きな妨げとなっていた。そのため、アカゲザルのTim-3検出方法を確立しその機能を研究することは極めて重要なことである。このことからアカゲザルCD8T細胞のTim-3の機能についても平行して実験を行った。SIV感染アカゲザルのCD8陽性T細胞のTim-3に関して、アカゲザルにおいてもCD8陽性T細胞に発現されたTim-3は抑制性受容体として機能することを発見し、開発をThe Journal of Immunologyに報告することができた。これにより、Tim-3を標的とする新規創薬および免疫療法の開発に大きく貢献することができた。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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The Journal of Immunology
巻: 193 ページ: 5576-83
10.4049/jimmunol.1400961.