研究課題
銀河系内拡散光とは星間ダストによる星光散乱である。前年度にDiffuse Infrared Background Experiment(DIRBE)全天マップの解析を行った結果、近赤外線の銀河系内拡散光が低銀緯ほど大きくなることを発見した。これはダストによる前方散乱から予言されており、ダストサイズが大きくなるほど前方へ散乱される割合が大きくなると考えられる。得られた銀河系内拡散光の銀緯依存性を説明するために、平行平板銀河内で銀河系内拡散光のモデルを作成した。現在用いられているダストモデルを仮定したが、その銀緯依存性は観測値ほど急にはならなかった。このことから、ダストによる前方散乱が予想以上に強く、現状のダストモデルよりも大きなダストが星間空間に存在することが推察される。この結果をもとに論文を執筆し、投稿した。宇宙背景放射とは銀河系外のあらゆる光の積算であり、銀河形成において重要な観測量である。宇宙背景放射は、空の輝度からその前景光を除去した等方残差光であると考えられる。前年度までの研究で、近赤外線の等方残差光は系外銀河の積算光の数倍の明るさを有し、そのスペクトルが黄道光に似ていることが分かった。このことから太陽系内の等方的な散乱光が、等方残差光に混入している疑いがある。そこで、太陽中心に分布するダストを仮定し、散乱光輝度を予測した結果、太陽離角が小さい領域ほど大きくなることを示した。その太陽離角依存性が観測されるかどうかを確かめるために、DIRBEのWeekly Mapの解析を行った。このマップは太陽離角が64度から124度までの幅広い範囲をカバーする唯一のデータであり、残差光の太陽離角依存性を調べるのに適している。その結果、等方的なダストから予想されるような太陽離角依存性を発見した。これにより、等方残差光に太陽系内の余分なダスト成分が混入していることが確定的となった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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The ASTROPHYSICAL JOURNAL LETTERS
巻: 821 ページ: -
10.3847/2041-8205/821/1/L11