研究実績の概要 |
本年度は,「ISIT2015での研究発表」「低ランク行列基底問題への実用的アルゴリズムの開発」「整数格子点上の劣モジュラ最適化への近似アルゴリズムの開発」の3つの成果があった. まず,「ISIT2015での研究発表」については,情報理論のトップ会議であるISIT 2015で“Multicasting in Linear Deterministic Relay Network by matrix completion”という題で口頭発表を行った.本成果は,無線通信ネットワークのモデルとしてAvestimhr, Diggavi, Tseにより提唱された “Linear Deterministic Relay Network (LDRN)” 上のマルチキャスト問題に対して,既存のYazdi, Savariによるアルゴリズムより高速なアルゴリズムを与えたものである.本成果はISITでのフィードバックを反映し, IEEE Transaction on Information Theoryに投稿済(現在査読中)である. 次に,「低ランク行列基底問題への実用的アルゴリズムの開発」では,同じ研究室の中務佑治助教とベルリン工科大学のAndre Ushmawjev氏との共同研究を行った.低ランク行列基底問題は,与えられた行列の線形部分空間から,ランクの和が最小な基底を求める問題である.これに対し,連続最適化に基づく実用的なアルゴリズムを与えた. 最後に「整数格子点上の劣モジュラ最適化への近似アルゴリズムの開発」がある.これは,2013年にERATO河原林巨大グラフプロジェクトに参加した際の成果であるが,組合せ最適化の実問題への応用として採択された研究課題とも非常に近い問題であるため,研究を続行したものである.まず,本成果についてICML 2014で口頭発表した.また,フォローアップ研究としてNIIの吉田悠一助教(現: 同准教授)と,各軸方向に凹性をもつ整数格子点上の劣モジュラ最適化について論文をまとめた.
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