研究課題
近年、循環型社会の構築が叫ばれる中、地球上に最も豊富に貯蔵されている植物資源であるセルロースを用いた、高分子複合材料の調製を行った。セルロースは植物体中において、セルロースミクロフィブリルという幅約3 nmのナノファイバーを形成している。このセルロースナノファイバーは、高アスペクト比・高弾性率・高強度などの優れた物性を有することから、高分子複合材料中ではナノフィラーとして機能し、高分子マトリックスの機械強度を少量添加で改善できることが知られている。セルロースナノファイバーは、炭素繊維やガラス繊維などのフィラーと比較しても、環境調和性、コスト、再生産可能性の面において高い優位性がある。また、このナノファイバーは大比表面積を有することから、高分子マトリックスの結晶核剤として働くことが期待される。本実験では、ポリ乳酸をマトリックスとして用いて、実験を行った。ポリ乳酸は生分解性プラスチックであり、既存の石油系プラスチックの代替としての利用が期待されているが、熱寸法安定性が非常に低いという課題がある。よって、セルロースナノファイバー/ポリ乳酸複合材料を調製し、セルロースナノファイバーの核剤効果としての機能を調べた。TOCN表面には高密度かつ規則的にカルボキシル基が導入されており、このカルボキシル基を足場として選択的な改質を行うことで、ポリ乳酸中での分散性を改善することに成功した。こうして得られたセルロースナノファイバー/ポリ乳酸コンポジット中でのポリ乳酸の結晶成長を考察した。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Polymer
巻: 55 ページ: 2937~2942
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