研究課題
本研究の主目的は、単独で存在する褐色矮星および、これまでに直接速攻観測でみつかっている太陽系外のガス惑星や褐色矮星質量天体の直接分光観測を行い、「ガス惑星ー巨大ガス惑星ー褐色矮星」という恒星質量未満の天体の大気構造や形成起源を統一的に理解することである。申請者が狙う周回天体は、間接法で見つかっている太陽系外惑星と異なり主星からの距離が比較的遠い天体である。褐色矮星やこのような天体の大気構造知るためには、「褐色矮星大気モデルの改良」、「面分光データ解析ソフトウエアの構築」、「直接分光観測で得られた分光データの解析」が必要である。その中でも当該年度は、特に「褐色矮星の大気モデルの整理・改良」に重点を置き研究を進めた。<大気モデル計算ツールの確立>既存の褐色矮星の大気モデルに対して、新しいプログラミング言語へ移行した。また、パラメータのインプットから物理量のアウトプット、図のプロットまで全過程を網羅する計算ツールを構築した。<大気モデルの改良>これまで申請者によって導出されていない、若い天体や軽い天体に対応するモデル大気(200K < 有効温度< 3000 K、および、3.0 < 表面重力加速度 < 6.0の範囲内で計算していない物理量の組み合わせのモデル大気)を計算できるよう計算コードの改良を進めた。ただし、これについては未完了である。<研究成果の発表>国内外の研究会(国際研究会4件)や投稿論文(主著者論文2本、共著論文3本)にて研究成果を発表した。また、日本天文学会が発行する月刊誌「天文月報」の執筆も行った。
2: おおむね順調に進展している
1. 褐色矮星の大気モデルの整理は進んだが、改良については難航している。2. 地上望遠鏡における観測申請が受理されなかったことで、次年度の計画が遅れることが予想される。
今後は、引き続き大気モデルの改良を進めるとともに、1年後の系外巨大ガス惑星の直接分光観測に向けて、系外惑星の直接分光観測の計画を具体的にたてていく。大気モデルの改良においては、特に、ダスト生成・消滅における力学的過程を組み込んだモデルを作成していく予定である。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (4件) 図書 (2件)
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