研究課題/領域番号 |
14J08006
|
研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
三阪 夕芽子 関西学院大学, 社会学研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
キーワード | キリスト教会 / 若者 / 貧困 / 社会経済格差 / スラム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ケニアの諸キリスト教が国家統合を助長する機能を果たしているという仮説をたて、現代ケニア社会が民族中心主義や社会階層格差とどのように向き合っているかを検討することにある。この目的を達成するために、平成27年度の5月から8月(繰越申請分)は現地での長期調査に充て、主調査対象のナイロビにおける教会での参与観察・聞き取り調査、学校などの教育機関、若者の意識調査、貧困地域の家庭調査を中心に行った。 平成26年度の短期滞在中に事前調査をおこなったナイロビ東部カヨーレ(Kayole)、ソウェト(Soweto)に加え、隣接する二地区、ダンドーラ(Dandora)、ケーシーシー(KCC)を含む三つの地区において、小規模ペンテコステ系教会での参与観察、牧師・教会関係者および信者への聞き取り調査を行った。カヨーレ、ソウェト地区を調査するにつれて、調査対象者の多くが隣接する地域であるダンドーラやケーシーシーに滞在していたことが明らかになったため、その軌跡をたどるべく、カヨーレ、ソウェト地区に加えてその二地区も調査対象とした。ダンドーラは独立以前よりスラム化がはじまった古いタイプの貧困層居住地区であるのに対し、ケーシーシーは1990年代より一気にスラム化がすすんだ地区である。特にケーシーシーに関する文献資料はほとんどなかったが、聞き取り調査によってその歴史や現状を明らかにすることができた。この調査によって、ナイロビの貧困層居住区における教会の状況、そして人びとが教会や牧師らとのかかわりによって、民族意識から脱却しようとする動きを明らかにした。またいずれの地域においても、ケニアにおける民族間の分断より社会経済階層格差の方がより深刻な問題であることが語られ、経済的な分断が一層強まっていることが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は長期の現地調査を行い、最終年度の論文執筆および研究発表に必要なデータを収集することが第一の重要項目であった。平成26年度はアフリカ全土へエボラ出血熱の感染拡大の危惧があり、現地調査が遂行できなかったが、平成27年度は計画どおり5月からケニアに滞在し、綿密な計画のもと調査を進めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
長期調査の継続して行う。具体的には、ナイロビで調査地として追加した二地区ダンドーラ・ケーシーシーの調査が不十分であるためより綿密な調査を行う。さらに、ケニア地方都市および村の状況を確認し、現地の研究機関(ケニア国立博物館・東アフリカスワヒリ研究所・ケニヤッタ大学社会学部・ケニア公文書館・ケニア法務省)における文献の収集を行う。その後、調査結果のまとめと成果の発表に取り組む。
|