研究課題
高度好熱菌Thermus thermophilusにおいて、葉酸依存性tRNAメチル化酵素TrmFOがtRNA修飾ネットワークに与える影響と、TrmFOを介したtRNA修飾ネットワークとDNA合成系の関係性についての研究を行った。trmFO遺伝子破壊株を作成し、表現系を確認したところ、trmFO遺伝子破壊株は、50度の低温培養において生育遅滞が起こることを見出した。遺伝子破壊株のtRNAのメチル化頻度を測定したところ、Gm18とm1A58メチル化ヌクレオシドの含有量が変動していた。メチル化ヌクレオシドの含有量の変動が与える影響について、タンパク質合成速度を確認したところ、trmFO遺伝子破壊株のタンパク質合成の速度は、野生株と比べ低下していた。TrmFOによって生合成されるm5U54は、Gm18とm1A58のメチル化頻度を調節しており、低温適応に必要であることを明らかにした。この結果は、論文として出版された。貧栄養下では、trmFO遺伝子破壊株の生育速度が向上することを見出し、この表現系について、DNA合成の観点からの理解を試みた。trmFO遺伝子を破壊することによって、メチレンテトラヒドロ葉酸の消費量が変動し、メチオニン合成系とDNA合成系に正の影響を与えているのではないかと考えた。新規DNA合成量を確認したところ、trmFO遺伝子破壊株のほうがDNA合成量が増加していた。さらに培地にメチオニンやチミジル酸を添加して培養したところ、trmFO遺伝子破壊株の生育速度は、野生株と同等になった。また、TrmFOを含む3種類の葉酸依存性メチル化酵素を用いて、試験管内でメチル化反応の競争実験を行い、TrmFOの存在は、他の葉酸依存性メチル化酵素の反応速度を低下させることがわかった。以上、TrmFOによるメチレンテトラヒドロ葉酸の消費は、DNA合成系に影響し得ることが示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Genes to Cells
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