研究課題/領域番号 |
14J08051
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
武井 良憲 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1) (00805145)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 超精密加工 / 形状修正加工 / 多点法 / 運動誤差 / ノズル型EEM / 軟X線集光ミラー / マンドレル / 回転楕円 |
研究実績の概要 |
今年度の主要な研究目標は、マンドレルの計測・加工システムを構築することであった。そして、博士論文のテーマの目処を立てることであった。 マンドレルは軟X線集光用回転楕円ミラー作製の根幹である。その表面にはシングルナノメートル精度が要求され、高精度な計測と加工が不可欠である。前年度までに、円周方向の高精度計測と形状修正加工システムは構築していた。今年度は、マンドレルの長手方向の計測装置の性能評価と更なる高精度化を行った。3本の変位計と実基準を用いることで、ステージの運動誤差の影響を受けることなく対象の形状計測が可能である。本手法を用いて、円錐台形状のマンドレルに対して計測を行った。さらに、その結果に基づいて形状修正加工を行い有用性を示した。しかしながら、回転楕円マンドレルの長手方向は、急峻な非球面形状であり、走査方向に100nm程度の位置決め誤差があるだけで変位方向の測定に1nmの誤差が生じる。そこで、本手法にさらに4本目の変位計を導入し、マンドレル計測時にリアルタイムで間接的にステージの位置決め誤差を計測可能にした。 この様に、本計測手法と加工システムを用いて回転楕円マンドレルを形状修正加工する目処を立てた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
博士課程次における本研究の目的は、回転楕円ミラー作製の根幹であるマンドレルを高精度計測・加工し、さらにミラーを生産し、そのミラーを用いて軟X線の集光評価を行うことである。 マンドレル作製において最も困難であった課題は非球面形状のシングルナノメートル計測であった。高精度計測のために、新たに地下に実験室を準備し、その部屋の温度環境整備を行った。また、新たに計測手法を提案し、その実証実験を行うことで、計測の課題をほぼ解決した。最終年度は、前年度までの成果を統括できる見込みである。さらに、マンドレルの表面とミラーの内面の両方の、長手方向と円周方向の形状プロファイルを1台の装置で計測可能となるように、市販の真円度測定器をカスタマイズした。今年度は、本装置を用いた計測実験を行うことでより詳細にマンドレルやミラーの形状計測が可能となる。
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今後の研究の推進方策 |
高精度計測のためには、優れた実験環境が望ましい。前年度に地下に新たに実験室を準備し、その環境整備を行ってきた。今年度は環境の更なる整備に取り組む。 前期:計測装置の性能評価の最終確認を行う。そして、回転楕円マンドレルの1ラインの形状計測をシングルナノメートル精度で行う。その後、電鋳法を用いてミラーを生産する。更に、7月に大型放射光施設Spring-8において軟X線の集光評価実験を行う。 後期:博士論文の執筆、これまでに得られた知見の引き継ぎ、計測手法の更なる展開、未報告のジャーナル論文の執筆を行う。
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