研究課題/領域番号 |
14J08109
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
青木 耕太郎 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 就労支援 / 自立支援 / 社会政策 |
研究実績の概要 |
■社会政策の歴史研究 日本の社会政策と海外の社会政策をそれぞれ歴史的な視角と理論的な視角から検討してきた。日本の社会政策がいかにして形成されてきたのかについて、雇用政策・福祉政策のそれぞれに焦点を当てて整理してきた。そのうえで就労支援・自立支援政策が、どのような過程を経て、いかなる変容を遂げてきたのか考察を深めた。なお、海外の社会政策にかわわる文献研究では、社会政策を資本主義の生成・発展過程の中に位置づけて、経済学や経済史などの分野にまで視野を広げて検討してきた。 ■労働市場政策の構造分析・聞き取り調査 日本の労働市場政策を「日本的雇用慣行」やそれとの関連から構造的に分析してきた。具体的には「日本的雇用慣行」の縮小に際して、公的職業訓練制度や雇用保険制度はどのように変容し、00年代の新たな若者雇用対策、生活困窮者の自立支援がいかにして生じてきたのかを検討してきた。 また、雇用問題・福祉政策にかかわる研究会にも積極的に参加し、最新の法制化の動向や現場の運用レベルの情報等を収集してきた。こうした研究会では、研究者だけでなく、現場で支援に携わっている職員の方と情報交換をしてきた。さらに、生活困窮者自立支援や若者自立支援の支援機関の職員との情報交換やヒアリングを行ってきた。こうした聞き取りからは、政策的に想定されている対象者像と実際との齟齬や乖離が浮かび上がってきた。そして、それに関連するが、一部では政策の意図と異なる効果をもたらしていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本と海外の社会政策に関する文献研究を進めることにより、当該分野にかかわる視野を広げるとともに、先行研究の整理を行ってきた。これにより、今後の研究の基礎ができたと考えている。 また、就労支援・自立支援にかかわる現場の支援者との協力関係も徐々に構築できてきており、今後本格的な調査を行う際の協力も期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
上述の研究活動を通じて、今後の研究の問題意識や筋道をより明確にすることができた。労働市場の変容と関連づけて、就労支援政策や自立支援政策の変化を整理したうえで、これらの政策が想定する対象者像と実際との齟齬や乖離を検証する必要がある。その際、政策の「意図せざる効果」に着目して、政策の効果を検討する予定である。 今後は、文献研究をいっそう深めていくとともに、政策決定過程に関する研究を進めるために、一次資料にもあたっていくことになる。 また、これまでの聞き取り調査を内容的にも規模的にも発展させていくことで、研究題目の課題に迫る調査を行う用意をしていく。
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