研究課題
本年度の研究実施計画に従い、(1)我々が前年度ALMA望遠鏡を用いて取得したデータと他の研究者がALMAで取得したアーカイブデータを使った論文をとりまとめ、(2)新たにALMA望遠鏡に観測提案を行い1つが最優先観測・残り3つがバックアップ観測として採択された。以下に詳細を示す。(1) 申請者自身がPIとしてALMAで取得した衝突銀河(VV 114, NGC 1614)のデータ解析を進め、分子ガスの物理化学状態と星形成活動・銀河の力学(ダイナミクス)との関係を調べた。特にNGC 1614の星形成が活発な領域では、生まれたばかりの星によって周りのガスが暖められるため、一酸化炭素分子の高励起輝線が相対的に強くなっていることを突き止めた。VV 114では、銀河の衝突によりショックが起こっている領域ではメタノールや硫化硫黄などの分子が増加していることを初めて突き止めた。これらの結果の内一部は既に査読論文や国際研究会等で報告済みである。(2) 我々が前年度までに取得した野辺山45m電波望遠鏡・ALMA望遠鏡のデータ(Saito et al. 2015, ApJ, 803, 60)やアーカイブデータから、特に事例研究として最適な天体を複数個抽出しALMA望遠鏡に計4つの観測提案を行った。結果として1つが最優先観測として採択され、残り3つがバックアップ観測として採択された。これらのデータは今後1年間の間に取得される予定である。
1: 当初の計画以上に進展している
26年度に得られたデータをもとに27年度もALMAに4つの観測提案を行った。これらのうち1つが最優先観測として採択され、残り3つがフィラー観測として採択された。現在のALMA望遠鏡は2012年の初期科学運用時に比べ感度・解像度が大幅に上がっているため、これらの観測が申請者の研究に多くの進展をもたらすと思われる。また、今年度中に査読論文2本・査読無し論文2本・国際研究会で賞を受賞した。
26年度にすでに得られたデータの内、論文として未発表の物を中心として研究を進め予定である(今年度中に少なくとも2本の論文を発表予定)。また申請者自身のデータに加えてアーカイブデータも用いて研究を行っているため、国内外問わずデータの取得者と共同研究を行う予定である。5月末から6月末にかけてスウェーデンとドイツにそれぞれ数週間滞在し、議論・研究打ち合わせを行う予定である。
すべて 2015 2014 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)
The Astrophysical Journal
巻: 803 ページ: 60 - 93
10.1088/0004-637X/803/2/60
巻: 815 ページ: 40 - 48
10.1088/0004-637X/815/1/40
Proceedings of the International Astronomical Union
巻: 309 ページ: 196 - 199
10.1017/S174392131400965X