研究課題
肥満マウスの脂肪組織DNAマイクロアレイ解析により、同定したMFG-E8(Milk Fat EGF 8)はアポトーシス細胞表面に表出するホスファチジルセリンに特異的に結合し、マクロファージなどによる死細胞の認識・貪食に促進的に働く。一方、マクロファージと死脂肪細胞により形成される貪食巣(CLS: Crown-Like Structure)は肥満脂肪組織で増加し、慢性炎症との関与が疑われている。我々は肥満脂肪組織中で増加するMFG-E8の死脂肪細胞-マクロファージ間における相互作用における役割と慢性炎症形成への意義について明らかにすることを目的とした。培養脂肪細胞を用いてMFG-E8の発現誘導条件に付いて検討を行ったところ、脂肪細胞肥大及びアポトーシス誘導によりMFG-E8は顕著に発現増加することを見出した。MFG-E8ノックアウトマウスでは高脂肪食負荷時の体重増加は野生型と比べて変化なかったが、耐糖能の改善を示唆する所見が得られた。この時脂肪組織中の炎症性サイトカインmRNA発現は野生型のそれに比べ抑制されていた。組織に浸潤したマクロファージは機能的に炎症性のM1マクロファージと抗炎症性のM2マクロファージに大別できる。肥満状態では脂肪組織中のM1マクロファージの増加が報告されるが、MFG-E8ノックアウトマウスではこの肥満誘導性のM1マクロファージの増加が抑制されることを見出した。以上より、MFG-E8は肥満よる慢性炎症の形成に関与しており、MFG-E8を介した死細胞の認識・貪食がマクロファージの炎症性の増悪に重要であると考えられる。平成28年10月第37回 日本肥満学会にて研究成果の口頭発表を行った。現在論文投稿に向け、準備を進めている。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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