研究課題/領域番号 |
14J08219
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
宗兼 将之 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 体内動態 / 化学形態 / 薬効 / 核医学イメージング |
研究実績の概要 |
医薬品開発において、候補化合物の体内動態解析は薬効及び副作用を予測する上で非常に重要である。また、金属含有医薬品においてはその生体内での化学形態が薬効に大きな影響を及ぼす。そこで本研究では、金属錯体の体内動態と化学形態を同時に解析する新たな核医学イメージング手法 (Dual Labeling GREI Analysis) の確立を行い、薬効との相関を解析することを目的とした。具体的には、放射性金属元素と放射性標識した配位子から構成される二重標識金属錯体を合成し、GREIを用いて両者の挙動を同時に識別して検出することで体内動態と化学形態を同時に解析する。 本年度は、化合物の合成とモデル化合物の薬効評価を行った。前年度にモデル化合物として用いたクリオキノール-亜鉛錯体は、大半が化合物投与2時間以内に亜鉛とクリオキノール(配位子)に解離することが分かった。また、撮像画像から胃での滞留性が亜鉛とクリオキノールで異なった。これらの結果から、クリオキノール-亜鉛錯体の解離に胃内の低pHが寄与しており、薬効発現の障壁になっていることが示唆された。そこで、胃内pHを中和し、錯体の解離を抑制した状態にすることで、クリオキノール-亜鉛錯体の薬効に変化がないかを解析した。しかし、いずれのマウスにおいても血糖降下作用は観察されず、クリオキノール-亜鉛錯体は、薬効との関連を解析するには不十分であると考えられた。そこで、放射性ヨウ素による標識が可能で薬効との関連も解析可能な新たなモデル化合物として、トロポロン-亜鉛錯体を導入した。トロポロン-亜鉛錯体は、亜鉛に配位する元素を変化させることで異なる薬効を示すことが報告されているため、これらの数種類の誘導体にヨウ素を導入したモデル化合物の合成を行った。すでに1種類の亜鉛錯体の合成に成功しているが、他の2種に関しては、既存の方法では合成できなかったため、異なる合成ルートでの合成を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度中に体内動態・化学形態と薬効との相関解析を行う予定であったが、モデル化合物の薬効が不十分であったため。(現在、モデル化合物を変更して実験を進めている。)
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、新たなモデル化合物であるトロポロン-亜鉛錯体の合成を行う。これらの合成が終わり次第、KK-Ayマウスを用いた血糖降下作用の解析、二重標識錯体を用いた体内動態・化学形態の解析を行う。また、これらの実験で得られた結果から、体内動態・化学形態と薬効との相関を解析する。
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