研究課題
本研究課題の目的は、銀河中心にある超巨大ブラックホールの形成の謎を解明するために、星間塵による減光を受けない特性を持つミリ波サブミリ波帯分子輝線を用いて、銀河の熱源(活動銀河核 vs 爆発的星形成)診断法を開発することである。平成28年度は、これまでに申請者が提唱してきたシアン化水素(HCN)、ホルミルイオン(HCO+)、硫化炭素(CS)等の高密度ガストレーサーを用いた熱源診断法(HCN(4-3)/HCO+(4-3)、HCN(4-3)/CS(7-6)強度比を用いる)の各種研究会での発表を精力的に進めた。また、分子輝線のみならず、真に活動銀河核のごく近傍にそんざいする電離ガスからのサブミリ波帯放射の検出可能性についても検討した。残念ながらこちらは、最新の大型電波干渉計であるALMAを用いても検出は極めて困難ということが分かった。一方で、この研究からは中間赤外線帯での電離ガス放射を検出できる可能性を思い立つに至り、科学的成果は確かにあったと言える。また、熱源診断で用いたHCN分子輝線から、銀河の高密度ガスの質量を導出するという作業を、いくつかの活動銀河核天体に対して行なった。その結果、銀河中心の数百光年以内の高密度ガス質量と、活動銀河核の光度には相関関係があることが分かった。その領域のガスが、超巨大ブラックホールの成長材料として利用されていることを強く示唆する結果である。ここから論を進め、銀河中心部の質量の流入 vs 流出の収支を、超新星爆発由来のガス乱流を用いた質量降着モデルで非常によく再現することにも成功した。質量収支を定量的に説明したのは本研究が初めてであり、その価値は世界的に見ても高いと言える。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 5件、 査読あり 8件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 5件、 招待講演 3件)
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