運動適応のモデルとして、マウスレバー引きの系を用いて検討した。通常の運動学習を終えた状態で習熟した状態と、レバーのパラメータを変更した場合の両方でGCaMP6を用いた多細胞記録を一次運動野から行う。上記の実験をすでに開始、一部完了した。 これらの多細胞記録から、まず単一細胞の活動性を調べ、パラメータ変更時の方が多く活動する細胞、逆にパラメータ変更前の方が多く活動する細胞、あるいは活動が前後で大きく変わらない細胞など多くのバリエーションが存在することを明らかにした。多細胞記録から、レバー軌跡の予測を行ったところ、パラメータ変更時に軌跡予測が大きく変化する群と、あまり変化しない群に分けることができることが分かった。さらにそれらの群ごとに神経活動の主成分空間での活動を観察すると、パラメータ変更時の神経活動軌跡の変化に2群で差があることが分かった。 H26年度開発したz揺れ補正用のアルゴリズムをさらに改良した。これは軸索などの細胞体よりも細い構造からのカルシウムシグナルをイメージングする際に問題となるZ揺れを補正し、疑似的に揺れていない平面を作り出すことで、これまで困難であった前肢運動課題実行中の軸索イメージングを可能にするものである。この技術により得られた多軸索記録について、さらにデータ解析を行った。これは、信号の配列性を用いて活動のダイナミクスを記述するものであり、独創性の高いものとなった。これらの結果をまとめて専門誌に投稿した。
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