研究課題
ロボットはもはやSFの世界だけにとどまらず,学校,自宅,職場,博物館,病院といった我々の身の回りにおいて重要な存在となりつつある.申請者が以前に行った研究では,ヒューマノイド,ペット,サービス,アンドロイドロボットの4種類のロボットに対する知覚を検討したところ,ロボットの外見によってロボットに対する知覚が異なることを明らかにした.このように,ロボットの種類によって印象が異なることは示唆されたが,それに加えて文化的背景の違いもロボットの知覚に影響を与えると考え,平成26年度は,異文化間でのアンドロイドロボットに対する知覚を計測し,直接比較することを目的に研究を遂行した.実験は,オーストラリアのNew South Wales大学と東京大学で行われた.本研究において用いられたアンドロイドは,若い日本人女性の外見をしており,眉毛,まぶた,眼球および口を動かすことで,笑顔,驚きや怒りなど様々な顔の表情を示すことができ,また,お辞儀といった身体を使ったジェスチャーもすることができた.本実験は3段階で構成されており,参加者にアンドロイドに対する第一印象を評価させ,アンドロイドとの交流,信頼ゲームを行わせた後に,アンドロイドに対する印象を再度評価させた.その結果,日本人の参加者は,アンドロイドとの交流後にアンドロイドに対して,より擬人化されていないと感じ,知的であると感じなくなった一方で,より安全であると感じることが分かった.またオーストラリア人の参加者は,安全性の印象は低いままでも,信頼ゲームを通じて,アンドロイドをより信用できると感じるようになった.まとめると,オーストラリア人の参加者は日本の参加者に比べてより肯定的な印象をロボットに対して抱いていることが示唆される結果となり,次年度の研究計画に対する重要な知見となった.
2: おおむね順調に進展している
本研究に関する成果が,査読付き国際誌に論文として掲載された.また,学会発表等を通じて多くのフィードバックを得ることができ,それらを元に,現在も新たな研究成果を査読付き国際誌に投稿する準備をしている.これらのことから,現在までの達成度は,おおむね順調であると思われる.
今後も,昨年度と同様に,実験成果の発表および論文執筆を行い,実験も滞りなく進めていくことで,ロボットの社会的受容を規定する要因の解明を目指す.
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (2件)
International Journal of Affective Engineering
巻: 13 ページ: 149-157
10.5057/ijae.13.149