本年度は、『立命館史学』37号に論文「寺檀制下の儒礼―中村習斎『喪礼俗儀』と尾張崎門派の葬礼実践」を発表し、『日本思想史研究会会報』33号に史料解題「浅見絅斎の鬼神論と祭祀観」、および史料紹介「翻刻・校注:浅見絅斎講述・若林強斎筆録『中庸師説』第十六章」をそれぞれ発表して、そのほか書評一本を『日本経済思想史研究』17号に発表した。これらはいずれも、本研究課題「『家礼』受容に見た徳川思想の諸問題に関する研究」と直接に関連する内容であり、これまでの研究結果を上記4点の形で活字化したことで、十分な実績をあげることができたと確信している。 ほか、日本経済思想史学会および東アジア文化交渉学会において、上記論文のベースとなった研究内容を発表した。特に後者では、採用者が中心となって企画した「日本朱子学の儒教儀礼とその実践」というパネル発表として、研究報告を行った。このことによって、採用者の研究をより多角的な視点から広げていくこととなり、今後の研究展望もより明瞭な形で明らかとなった。なおいずれの学会発表においても、学会参加者との間で共通理解を築くことができた。 2017年3月には、採用期間三年間の研究結果を博士論文「近世日本の儒教と喪祭―闇斎学派の朱熹『家礼』受容と儒礼実践に関する思想史研究」としてまとめ、立命館大学文学研究科に提出した。博士論文という形で、採用期間の研究成果をまとめることができたことで、本研究課題は確実に達成されたものと思われる。
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