研究課題/領域番号 |
14J08650
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
渡部 鮎美 神奈川大学, 歴史民俗資料研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2018-03-31
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キーワード | 移住者 / 二地域居住 / 高齢者 / 出稼ぎ / 地域資源 / 過疎高齢化 / 社会的意義 / 観光 |
研究実績の概要 |
前年度から1)過疎・高齢化地域における人とモノの流れの変化、2)多様なアクターによる地域資源の利用の2つが新たに解決すべき課題となっていた。1)については戦後、注染産業に従事し、染工場を渡り歩いた十日町市松代の出稼ぎ職人についてまとめた論文が掲載された。2)については地域の観光化と地域開発の中で山菜資源をめぐって観光客と地域の人びとが対立するようになった背景と経緯を論じた。調査地では誰が採集してもよいルースなローカルコモンズであった山菜が①1974年頃からの山菜ブームを背景にした隣県からの採集者や観光客による無断採集の増加、②1970~80年代の出稼ぎや過疎化によって地域に住む人びとが都市と自らが住む地域を比較する視点をもち、観光資源や地域の特産品として山菜の栽培や加工を始めたこと、③無人市や民泊事業の開始によって観光客や周辺地域の人びとが山菜に高い価値を感じていることを実感したことによって資源価値が上昇していた。一方で地域の人びとにとって、山菜は依然として誰がとってもいい無料の食材で、肉や魚といった食材よりも価値の低いものである。このように山菜の資源価値が高まり、観光客や隣県の採集者に採られたくないという意識も高まる一方で、地域の人びとは旧来からの山菜に対する食材や半栽培植物という低い評価も持ち続け、山菜の社会的意義は二重化していた。また、山菜の価値の高さは観光被害と合わせて語られ、観光客への怒りが山菜採集という分かりやすい行為に凝縮されて現れていた。そして、多様なアクターの関与の中で山菜の資源価値と社会的意義が変わり、地域の人びとは資源の意義を二重化させて、観光被害を語り、都市への視線をもって地域資源、ひいては地域を語っていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究では継続的かつ意欲的に調査を進め、その成果を学会発表などで明らかにした。11月以降は産後の体調不良や子息の病気などで思うように調査や学会への参加ができなかったが、文献調査を中心に研究を進めた。3月には現地での調査を再開し、新たな知見を得た。調査を行った地域への成果還元も積極的に行い、産休中に刊行された論文等で研究成果を示し、研究協力者等へ配布した。また、海外の研究者との交流や英語論文の執筆の準備なども進め、国際的な研究のオリジナリティーの創出に努めている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本年度の研究でキーとして析出できた地域住民のもつ「都市への視点;地域を語る際に自らの居住経験や被観光対象としての経験をもとに比較対象として都市を取り上げること」について研究を進め、研究の総括を行う。研究の総括として、3年間の成果をまとめた研究報告書を作成する。作成した報告書は調査の協力者や調査地を中心に関係する諸機関への配布し、研究成果の還元に務める。報告書には多様なアクターを包摂する地域づくりへの政策提言を含め、今後の地域運営についての考察を深めたい。
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備考 |
2015年度に参加し、展示や冊子作成に協力をした『松代商店街周辺における土壁による修景プロジェクト』の紹介ページ
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