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2014 年度 実績報告書

Nrf2の発現量依存的な癌遺伝子変異解析と癌初期化による新規肺癌治療法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 14J08771
研究機関独立行政法人国立がん研究センター

研究代表者

佐藤 大希  独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2014-04-25 – 2017-03-31
キーワード肺癌 / 網羅的遺伝子解析 / 肺発生
研究実績の概要

【研究目的】抗酸化ストレス転写因子Nrf2が癌遺伝子変異と肺再生遺伝子発現誘導に関与する可能性から、①Nrf2発現量の異なる肺癌における癌遺伝子変異の網羅的解析と、②マウス生体内において肺癌組織を初期化した後にNrf2を活性化し、癌組織を正常肺組織に再生できるかを検討する。
【研究実績】
①マウス肺癌の網羅的な遺伝子変異解析:Nrf2発現量の異なるマウスに生じた腫瘍で変異が入る癌遺伝子を検討するために、各遺伝子型マウスに腫瘍を作製し、腫瘍組織と非腫瘍組織の網羅的遺伝子解析を行った。(i)腫瘍DNA抽出法の確立:各遺伝子型マウスの肺腫瘍サンプルから、ゲノムDNAを抽出した。本実験系で用いたマウス系統は塩基配列が同定されているC57B6マウスとは異なるため、参照塩基を考慮し、各マウス個体の正常肺組織をコントロールとして、同じ個体内に形成された独立した癌病変を取り出した。(ii)網羅的遺伝子解析:抽出したDNAサンプルを調整し、次世代シーケンサーを用いてシークエンス反応をそれぞれの遺伝子群で行った。全ての検体で十分なリード数を得ることができた。上記で得られたデータを現在解析し、各遺伝子群に特異的な癌遺伝子変異を検討中である。
②肺癌初期化後分化誘導実験:(i)薬剤誘導性初期化癌細胞株の作製:マウスに肺腫瘍を形成する肺癌細胞にiPS細胞誘導因子をドキシサイクリン(Dox)で発現誘導できるベクターを遺伝子導入し、Dox誘導性iPS化細胞株の樹立を試みた。遺伝子導入細胞株を数代継代し、今後薬剤を投与して実際にiPS細胞が誘導できるかを検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

①癌遺伝子変異の網羅的解析:マウスに作製できる腫瘍組織は遺伝子型によっては微小なものが存在する。そのため、当初は十分なDNA量を抽出できなかったが、プロトコルを改変することで、安定して十分量かつ精度の高いDNAを抽出することが可能となった。各遺伝子型の腫瘍組織と非腫瘍組織について、充分量の検体について網羅的遺伝子変異解析を行うことができたことから、当初の予定よりも進展が認められたと考えられる。
②マウス生体内での肺癌組織をiPS細胞化した後にNrf2を活性化することで肺癌組織を正常肺組織に再生できるかを検討する。マウスに肺腫瘍を形成する肺癌細胞にiPS細胞誘導因子をドキシサイクリン(Dox)で発現誘導できるベクターを遺伝子導入し、Dox誘導性iPS化細胞株の樹立を試みた。次年度から実際に薬剤を投与して、初期化誘導が検討できるため、予定通りに進行していると考えられる。

今後の研究の推進方策

①マウス肺癌の網羅的な遺伝子変異解析において、初年度の研究から充分な結果が得られたため、主に①の実験を重点的に行う。具体的には、下記事項を検討する予定である。
①マウス肺癌の網羅的な遺伝子変異解析
(i)初年度に得られたシーケンス結果を解析し各遺伝子群に特徴的な癌遺伝子変異を検討する。
(ii)上記で得られた結果からin vitroの実験系で再現できるかを検討する。
②肺癌初期化後分化誘導実験:初年度に樹立した薬剤誘導性の癌細胞に対して、ドキシサイクリンを投与して初期化誘導実験を行う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 薬剤によるNrf2 活性化はウレタン誘導性肺腫瘍の悪性化を促進する.2014

    • 著者名/発表者名
      佐藤大希、森口尚、海老名雅仁、柴田龍弘、山本雅之
    • 学会等名
      第73回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2014-09-25 – 2014-09-27

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公開日: 2016-06-01  

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