研究課題/領域番号 |
14J08792
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三木 敦子 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 長鎖ノンコーディングRNA / ストレス応答 / RNA分解 |
研究実績の概要 |
近年のトランスクリプトーム解析によって、タンパク質をコードしないゲノムDNA領域から「非コードRNA(non-codingRNA; ncRNA)」が多数転写されていることが示された。分裂酵母でグルコース飢餓ストレスに応答して転写される長いncRNAであるmlonRNAは核内での分解を免れて細胞質に移行し、タンパク質に翻訳されないにも関わらずリボソームに結合していることが先行研究によって明らかにされてきた。また、このfbp1領域ではアンチセンスRNAも転写されており、その転写パターンはセンス鎖のmlonRNAおよびmRNAと逆のパターンを示す。さらに、近年他の生物種でRNAの品質保証系によるRNA分解と、クロマチン修飾や遺伝子発現制御との関係が示されつつある。したがって、ncRNAを介した遺伝子発現制御とRNA分解系の関係も、興味深い課題である。以上の状況から、アンチセンスRNAおよびmlonRNAの分解系に関心を抱いた。2015年度は前年度に作成したRNA品質保証系の破壊株を使うことでfbp1遺伝子のアンチセンスRNAの分解経路を同定することができた。さらに現在は先行研究で明らかになっているfbp1同様、グルコース応答性を示すようなRNA群に対してもデータベース上のリボソームプロファイリングのデータ解析を行うことで2015年度に明らかになったRNA分解経路による遺伝子発現制御が行われているか調べることでこのメカニズムの一般性についての検証を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アンチセンスRNAが主に細胞質内で翻訳に依存した分解を受けていることを明らかにし、それを一分子のRNA Fluorescence Hybridyzation(RNA-smFISH)を行うことで実際にアンチセンスRNAが細胞質内に移行していることを確認した。またアンチセンスRNAを発現している細胞と発現していない細胞があり、出芽酵母で見いだされている現象が分裂酵母でも確認された。さらに超遠心によるスクロース密度を利用した分画法(ポリソームフラクショネーション)を行うことでアンチセンスRNAがリボソームと実際に結合していることを明らかにした。またアンチセンスRNAの分解経路を同定する段階で作製した変異株のうち、アンチセンスRNAの分解を促進する因子の破壊株でアンチセンスRNAの発現量が変化しなかったものがあった。このことから、その因子がアンチセンスRNAの分解だけではなく、転写にも影響を及ぼしている可能性が示唆された。そこで公開データベースのその因子の破壊株で行われたRNA-seqのデータを現在解析し、破壊株でも発現量が増えていないようなアンチセンスRNAがないか現在探索中である。
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今後の研究の推進方策 |
前年度、および今年度得られたmlonRNAおよびアンチセンスRNAの制御の結果をまとめるにあたり、現在データベースで公開されているRNA品質保証経路の因子の破壊株のRNA-seqやリボソームプロファイリングの次世代シーケンサーのデータを自身でマッピングし、当研究室の先行研究によって明らかになったストレス応答性のセンスRNA、アンチセンスRNAともに発現している遺伝子領域において、fbp1領域と同様の分解制御が行われているか、一般性を検証して論文を執筆する。
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