研究課題
まずガレクチン-1が結合する糖タンパク質の同定を行うことを目的としGST標識ガレクチン-1の精製を行った。GST-ガレクチン-1を用いて、GST-pull down 法により、ガレクチン-1結合タンパク質を同定しようと試みた。まずガレクチン−1GSTタンパクを大量調整しカラムを作成後に、マクロファージ膜由来のタンパクを結合させたところ、結合するタンパクのバンドが殆どなく、目的とする生物機能をもつ特定の結合タンパクを得ることができなかった。新たに別の糖鎖変異マウスであるα1-6フコース転移酵素(Fut8)KOマウスに実験的腸炎を誘導した。Fut8は様々な膜受容体の機能を制御することで知られている糖転移酵素で、実験的腸炎におけるFut8の役割を免疫系のシグナルを中心に解析することにした。まずはWTマウス、Fut8 KOマウスにT細胞を介した腸炎モデルであるTNBS腸炎を誘導したところ、Fut8 KOマウスで腸炎が抑制され、炎症性サイトカインであるIFN-γの産生が有意に抑制されていた。次に、Fut8 KOマウス由来のT細胞に対して、T細胞を活性化させる刺激であるTCR刺激を行うと、炎症性サイトカインの産生が有意に抑制され、TCR刺激の下流のシグナルが抑制されており、T細胞が活性化されにくいことが示された。続いて、Rag2 KOマウスに抗原感作されていないnaïve T細胞を移入するモデルを作成した。移入するT細胞をWTマウス由来とFut8 KOマウス由来のT細胞で腸炎の度合いを比較検討したところ、Fut8 KOマウス由来のnaïve T細胞を移入したマウスにおいて体重減少が少なく、腸炎が有意に抑制された。また、IFN-γの産生においても有意に抑制されていることがわかった。以上に検討により、Fut8 KOマウス由来のT細胞は活性化されにくいことがわかった。
1: 当初の計画以上に進展している
現在行っている研究内容は、2015年5月にワシントンで開催されるDDW2015(アメリカ消化器病学会週間)において口頭発表で演題採用されており、世界的にも評価されている。現在は詳細なメカニズムに関して検討し、また論文作成にも取り掛かっており、近々投稿する予定である。
現在は詳細なメカニズムに関しての検討を行っている。また、臨床検体を用いた検討も行っており、症例数を増やし、マウスと人でも同じことが言えるのかどうかに関して検討を行っている予定である。将来的には、このFut8をターゲットとした治療法を確立させ、未だ原因不明で治療法が確立していない炎症性腸疾患の治療・原因解明に努めていきたい。
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