申請者の研究目的は、第一に、系統・語群の異なる言語に取り囲まれているという特殊な状況にあるウズベキスタンにおいて、そこで話されているウズベク語の各方言をそれぞれ独立した言語体系として記述することである。第二に、その方言のデータをより大きな理論的議論(言語接触や「アルタイ型」言語の類型論)に役立てることである。 その目的遂行のため、特に本年度は第一の目的を遂行するため、ウズベキスタン科学アカデミー言語文学研究所において2014年9月から3月まで滞在した。2014年12月にウルゲンチにおいてオグズ方言の調査を行った。その他の期間はタシケントにて方言の資料収集を行った。具体的な成果を以下に記す。 資料収集の際に、オグズ方言の権威であるFattoh Abudulaevの著書を三冊手に入れ、さらに語学文学研究所の雑誌Til va adabiyot「語学と文学」で、ウズベキスタンの言語学に関する最新の研究成果を参照することができた。その他オグズ方言以外の方言に関する文献や標準語に関するウズベク語で書かれた文献も入手することができた。 二週間の現地調査では、基礎語彙、モノローグ、エリシテーション調査を行い、データを蓄積することができた。特に、方言で用いられる目的を表す形式が、標準語で用いられる形式と異なることを明らかにした。さらに方言におけるこの形式が、移動の目的を表すのではないかという推論を立てるに至った。これに関しては27年度に再度行う調査で裏付けを行っていく。
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