研究課題
本研究では,特に真正細菌の細胞において,外膜タンパク質がどのように外膜に組み込まれるのか,その形成メカニズムの構造基盤を解明することを目的として,外膜タンパク質の膜組み込み装置であるBam複合体に着目して構造研究を推進してきた.これまでにBam複合体の中核因子である膜タンパク質BamAの結晶化に成功していたが,最終的にBamAならびにBam複合体の構造決定には至らなかった.2016年には,海外の他研究室からBam複合体の構造が相次いで報告された.これらの報告から外膜タンパク質形成メカニズムの構造基盤の一端が示された.しかしながら,Bam複合体と基質タンパク質とがどのように相互作用して,またBam複合体がどのような構造変化を伴って基質タンパク質を外膜に組み込むのかということに関しては,未だ不明な点が多く残されている.今後はBam複合体と基質タンパク質との複合体の構造解析や膜組み込み過程におけるダイナミクス研究の進展が予想される.また前年度に引き続いて,Vibrio choleraeに由来する多剤排出輸送体MATEトランスポーターの構造・ダイナミクス研究も進め,本年度はその成果の一部を国際誌に発表した.決定した異なる2つのコンフォメーションの結晶構造と,得られた構造情報に基づく電子スピン共鳴解析の結果から,原核生物に由来するMATEトランスポーターに共通した基質排出メカニズムが示唆された.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Acta Crystallographica Section F STRUCTURAL BIOLOGY COMMUNICATIONS
巻: 72, Part 7 ページ: 552-557
10.1107/S2053230X16008931