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2015 年度 実績報告書

形而上学的探究の適切な方法論的基礎づけ-クワイン的方法論の解明を軸として-

研究課題

研究課題/領域番号 14J09166
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

髙取 正大  慶應義塾大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2014-04-25 – 2017-03-31
キーワード分析形而上学 / メタ存在論 / 存在論的コミットメント / 科学的形而上学
研究実績の概要

本年度は、こんにちメタ形而上学(分析形而上学の方法論を研究する分野)と呼ばれる分野に関して、次の二つのテーマを中心に研究を進めた。一つは、分析形而上学方法論における重要な道具立てとして知られる〈存在論的コミットメント〉の概念に関する論点である。もう一つは、科学哲学の側から近年なされている、分析形而上学に対する方法論的批判を巡る諸問題である。それらの成果は以下のように、口頭発表としてアウトプットされ、またワークショップにおける提題として準備中の段階にある。
存在論的コミットメント概念に関する本年度の研究では、この概念の標準的理解の中で、暗黙裏のうちに認められているある重要な前提を指摘し、その正当性を批判的に検討する、という作業を行った。その暗黙裏の前提とは、(大まかには)「メタレベルからの意味論的考察において前提される存在者を、もとの文や理論の存在論的コミットメントに含められるものとそうでないものとに区別できる」というものである。本研究では、この前提が、なかば当然視されているにもかかわらず、実際にはそれほど強力な正当化を与えることができないものであることを論じた。そして更に、その前提抜きでこの概念について考えることが、興味深い哲学的描像を示唆することを示した。この成果は、2015年11月の日本科学哲学会第48回大会において口頭発表された。
科学哲学からの批判を巡る諸論点については、次のように研究を進めた。分析形而上学に対する科学哲学からの批判は、分析形而上学が実在のあり方の探究を目標としているのに、個別科学の知見に注意を払っていない、というものである。本研究では、個別科学とは異なる手法を用いて実在を探究することの原理的可能性を論じることで、このような批判へ応答することを試みた。この成果は、2016年5月の応用哲学会第八回年次研究大会でのワークショップの中で、口頭発表される予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題における主要な目標は、現代分析形而上学の適切な方法論的基盤を提出することである。この目標に対して、分析形而上学方法論主要な道具立ての一つである、存在論的コミットメント概念について、これにまつわる重要な前提を指摘・批判し、その成果を発表することができた。また、分析形而上学に対して、他分野である科学哲学からなされている方法論的批判を吟味し、それに対して応答するという作業を行い、これも近日中に口頭発表される予定である。以上のことから、本研究は、目標の達成に向けておおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

現在の研究内容を継続し、分析形而上学の適切な方法論的基盤を提出するため、現在の分析形而上学で方法論的道具立てとして用いられている様々な概念・手続きについて、その内実を解明し、また批判的に検討する作業を行っていく。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 2015

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 分析形而上学と科学哲学の対話可能性2016

    • 著者名/発表者名
      森田紘平、高取正大、北村直彰
    • 学会等名
      応用哲学会第八回年次研究大会
    • 発表場所
      慶應義塾大学三田キャンパス(東京都港区)
    • 年月日
      2016-05-07
  • [学会発表] 存在論的コミットメントの概念とメタ理論的考察2015

    • 著者名/発表者名
      高取正大
    • 学会等名
      日本科学哲学会第48回大会
    • 発表場所
      首都大学東京南大沢キャンパス(東京都八王子市)
    • 年月日
      2015-11-22

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公開日: 2016-12-27  

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