研究課題
2015年3月にフルシステム観測が始まった南極最大の大型大気レーダーで観測された中間圏の顕著な波状擾乱の力学特性を調べた。観測データによる力学解析に加え、昭和基地付近に格子密度を高めた全球雲システム解像モデルによる再現実験を行った。モデルトップは中間圏界面付近の高度87kmに設定しており、全球雲システム解像モデルを用いて中間圏全体を解像しようという試みは世界で始めてである。詳しい解析の結果、この波状擾乱は水平波長2000 km程度と非常に大きな慣性重力波であり、対流圏界面付近及び極渦の大規模な流れの自発的調節過程によって発生し昭和基地付近に到達したものと突き止めることが出来た。このような波動の存在は従来の中間圏に関する先行研究では認知されていない問題であり、成層圏残差循環の描像の解明に大きく寄与すると思われる。この研究成果を関連する国内学会および国際学会で発表した。本研究内容を論文としてまとめ、国際誌Journal of Atmospheric Chemistry and Physicsに投稿中であり、現在Discussion paperとして公開されている。また、高解像度数値モデルを用いたPANSYレーダー観測データとの長期比較解析的研究に備えて、数値モデルで用いる新たな水平格子作成法を考案した。この手法に関する論文をまとめ、論文は日本気象学会の国際誌に2016年5月に受理された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Journal of the Meteorological Society of Japan
巻: 94 ページ: 443-452
10.2151/jmsj.2016-022