研究課題
水を水素源としたNH3のオンサイト合成を目的とする。水(アノード)とN2(カソード)をH+伝導膜で仕切り、電場をかけて、温和な条件(常圧, 20~100℃)でNH3を電気化学合成する。この温和な条件でのNH3合成ができれば合成のオンオフが容易であるために、時間変動の激しい太陽光発電や風力発電の電力貯蔵にも用いることができる。先行研究のNH3電気化学合成速度は非常に遅く、「(I)N≡N結合切断 (II)水の電気分解による水素発生」が障害となっている。上記の律速を克服するために、H+伝導膜に求められる物性を解き明かすため、膜を様々に変えて、それに対するアンモニア合成反応の結果を調べた。これにより、触媒を有効利用するために必要なH+伝導膜の物性が解き明かされ、今後の研究の指針を得た。さらに、触媒自体の検討も行い、触媒担持体やその他合成の際に求められる手順や方法など最適化を行いつつ、H+伝導膜に対して必要な物性な触媒の物性を解明した。これらの検討の結果により、H+伝導膜や触媒に対して行う当初のコンセプトが正しかったことを実証することができた。そして続くコンセプトの実証を続ける価値が見出すことができ、今後も得られた物性の指針を基に更なる効率向上のための検討を行っていく。この他に担持する触媒金属の最適化を行い、アンモニア合成反応において従来の触媒金属に比べて飛躍的に高い活性を発現することに成功した。そしてその活性が高い理由を解明し、どのような触媒金属の物性がアンモニア合成にとって必要であるかを示した。
1: 当初の計画以上に進展している
今年度予定していた各項目の検討を終えた。結果として課題点を見つけ、それに対しての解決策を考案し、それについての検証もすでに行っている。その他にも担持金属を検討していたところ、非常に高い活性の材料を発見することができ、当初の計画以上に進展している。
H+伝導膜の物性を様々に変えて試し、更なる活性向上を追究する。この際、水素発生の選択性についても考慮して、研究を進めていく。また、より高い活性を得るために、更なる触媒の検討もする。
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