研究課題/領域番号 |
14J09452
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
京 卓志 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | タンパク質間相互作用 / カルシウム結合タンパク質 / 小胞輸送 |
研究実績の概要 |
カルシウム結合タンパク質ALG-2と初期分泌経路調節タンパク質TFG(Trk-fused gene)との相互作用が高等動物細胞内において果たしている役割の解明を目指し、本年度は以下の項目について研究を実施した。 1.TFGのALG-2相互作用領域の同定。これまでに複数のALG-2相互作用タンパク質の相互作用領域の類似性比較により、ALG-2の結合するモチーフ(ALG-2 binding motif, ABM)は二種類(ABM-1, ABM-2)存在することが考えられている。TFGにはABM-2に相当する配列が存在し、ABM-2を欠損させたTFGはALG-2との相互作用が著しく低下することが分かった。 2.TFGの細胞内局在におけるALG-2の役割。まず、HeLa細胞においてALG-2とTFGの細胞内局在を調べた。その結果、小胞体上の特別な領域であるERES(endoplasmic reticulum exit site)において一部共局在することが分かった。次に、ALG-2をHeLa細胞に過剰発現させたところ、ERESに局在するTFGのシグナル強度が増加した。さらに、FRAP(fluorescence recovery after photobleaching)解析により、ABM-2を欠損させたGFP融合TFG(GFP-TFG)は、ERESに安定して局在する割合が減少することが分かった。 3.TFGの多量体形成におけるALG-2の役割。TFGは八量体を形成し、さらにそれらが会合することでより大きな多量体を形成することが報告されている。大腸菌から調製したHisタグを付加したTFG(TFG-His)とALG-2を用いてTFGの多量体形成実験を行った。その結果、カルシウム及びALG-2依存的に八量体TFG-His同士の会合が促進された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究によって、ALG-2は八量体TFGの会合を正に制御することによって、TFGのERESへの安定的な局在に寄与している可能性が示唆された。昨年度のALG-2相互作用タンパク質のスクリーニングから、およそ一年間でTFGの機能・動態におけるALG-2の役割を明らかにしつつあるため、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ALG-2によるTFGの動態の制御が、初期分泌経路をなす小胞体からゴルジ体へのタンパク質輸送にどう関わっているのかを明らかにすることを目的とする。TFGは小胞体からゴルジ体へのタンパク質輸送に必要である。しかし、そのTFGの機能におけるALG-2の関与は不明である。そこで、TFGの発現抑制によって引き起こされる初期分泌経路の破綻が、ABM-2を欠いたTFGの発現によって救済されるのかを検討することで、ALG-2の関与を調べる。
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