木質・プラスチック複合材の流動性に及ぼす木質系素材自体の熱処理による流動性向上および疎水化の影響について調査した.蒸煮処理によって流動性を向上させた竹粉,全乾加熱処理によって疎水化させた竹粉および未処理の竹粉をポリエチレン (PE) と混合し,作製した木質・プラスチック複合材(WPC)の流動性試験を行った.蒸煮処理および全乾加熱処理を施した竹粉を混合したWPCは,未処理の竹粉を用いた場合と比べて短時間の熱圧によって流動性が発現することが確認された.特に,蒸煮処理竹粉を混合したWPCに関しては,熱圧開始直後から流動が開始した.以上の結果より,高充填WPCの流動性を向上させるためには,蒸煮処理によって流動性を高めた木質系粉末を用いることが有効であることが明らかになった.蒸煮処理による木質系粉末の流動性向上に関するメカニズムを解明するため,蒸煮処理竹粉から抽出した水溶性成分に対して,ガスクロマトグラフィを用いた分析を行った.その結果,水溶性成分には多くのキシロースが含まれていることが確認された. 木質系粉末およびそのプラスチック複合材から作製したビレットの鍛造加工性について調査を行った.スギのバークおよびPEを混合し,圧縮成形によりビレットを作製した.作製したビレットを用いて,鍛造加工を試みたところ,成形品を得ることが可能であった.成形品の耐衝撃性について検討するため,シャルピー衝撃試験を行ったところ,バークの充填率が90 %の場合において,衝撃値が2.8 kJ/m2であった.
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