本研究は、日韓高齢者政策の歴史において「施設介護労働市場/在宅介護労働市場/家族介護領域」という三つの領域では、誰がどのように生活し、介護してきたかを踏まえ、特に介護保険制度創設以降において家族介護領域が日韓でそれぞれどのように変容してきているのか、在宅介護労働市場ではどうなのか、更には施設介護労働市場ではいかなる変容であるのかを史資料を通じて解読し、それによって日韓における高齢者介護政策の国際比較分析を行なうことを目的とする。 上記の目的に即して、2015年度には5月と6月の2回にかけインテンシブなフィールドワークを行った。韓国の全州市に位置している「老人療養施設ヌルプルンの家」を訪問し、韓国介護現場での参与観察と介護する人・介護される人・その家族に対するインタビュー調査を行なった。そして 光州大学社会福祉学科のジョン・ヒギョン教授から博士学位請求論文「日韓における介護労働市場の形成と変容」に関して韓国関連執筆事項を面談し、研究指導をうけ修正作業を行った。 韓国で行われたインテンシブなフィールドワークと研究指導により、介護労働実態を把握し、内容を実証的に検討した。こうした調査から現代韓国型生活保障システムから韓国型介護労働市場が形成されていることを明らかにした。
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