研究課題/領域番号 |
14J09628
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山口 真 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | 繊毛運動 / モータータンパク質 / 3次元計測 |
研究実績の概要 |
繊毛運動の3次元計測のための土台として、外腕ダイニンのin vitroでの運動の3次元計測を行った。これにより、本研究に用いる計測系において、30 nm程度の量子ドットに対して30 frame毎秒の速度、数nmの精度での三次元位置定量が行えることが実証された。 また繊毛の運動計測のために必要であるテトラヒメナの固定条件について検討した。テトラヒメナ表面のビオチン化により、ストレプトアビジンを介してガラス面にテトラヒメナを固定する計画だったが、この方法では繊毛がビオチン化されガラス面に固定されてしまうため、繊毛自体の運動により細胞が動いてしまい安定した固定が難しかった。 そこでテトラヒメナの固定にはマイクロインジェクター及びマニュピレーター(IM-HI及びMHW-3, ナリシゲ)を用いることとした。これによりテトラヒメナをマイクロインジェクターの先端に装着したマイクロピペットにより吸着し、薬剤などを用いずに視野中に固定した状態で観察が可能となった。 このような実験系において軸糸ダイニンが繊毛の運動へ与える影響を調べるため、テトラヒメナの形質転換体を作製した。当初の実験計画では、繊毛運動の波形の調節に寄与するとされる内腕ダイニンを対象としていたが、テトラヒメナにおいては内腕ダイニンの各遺伝子が繊毛上でどのような配置になっているのかが不明なこと、各内腕ダイニン個別の運動特性がin vitroでもあまり調べられていないことなどから、外腕ダイニンを対象とすることとした。相同組換えにより外腕ダイニンのβ重鎖にGFPを付加した変異体を作製した。この株について、現時点でGFPが繊毛に発現し発色していることを確認した。 また、同様にして外腕ダイニンの3頭構造のうちのβ頭部のストーク及び微小管結合ドメインをGFPに置換した形質転換体を作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
か本研究の重要点は繊毛運動を高精度で3次元計測する実験系を構築すること、及びテトラヒメナの遺伝子改変技術による特定の軸糸ダイニンの欠損が繊毛運動に与える影響の定量であるが、2つの点について大きな進展が見られた。 3次元計測については、より高精度が必要となるin vitroでのダイニン運動を計測する系で光学系の精度が実証され、観察対象のテトラヒメナを固定する方法も定まったため、よりスケールの大きい繊毛運動の計測への応用が確実となった。 また軸糸ダイニンの形質転換については新規技術の習得が必要となるため難易度が高いと予想されたが、繊毛上で変異を導入したGFPによる蛍光が観察されているため、順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
構成した3次元間位置検出光学系を用いて繊毛運動の3次元観察を行い、波形、振動速度などの情報を得る事を目指す。繊毛運動の計測は繊毛に付着させた蛍光ビーズを介して行うが、ビーズの径や付加する個数が運動に対して影響する可能性があるため条件検討を行いながら慎重に進める。 また遺伝子改変によって3頭構造を持つ外腕ダイニンのうち1つの頭部を欠損した変異体が得られたため、野生型のテトラヒメナの繊毛運動とこの変異体の運動を比較することで、この欠損した頭部が繊毛運動に与える影響を定量する。
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