研究課題/領域番号 |
14J09688
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田村 優樹 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | 骨格筋 / ミトコンドリア / オートファジー / 温熱刺激 |
研究実績の概要 |
ミトコンドリアは、エネルギー産生を担う細胞小器官である。ヒト生体の最大の器官である「骨格筋」のミトコンドリアの減少は、骨格筋の萎縮といった骨格筋の機能不全の原因となり、転倒や寝たきりといった問題を引き起こす。したがって、骨格筋のミトコンドリア量を保持・増加させることは、健康的な生活をおくる上で重要な課題といえる。骨格筋のミトコンドリア量を保持・増進する方法としては持久的トレーニングが最も効果的である。しかし、傷害や疾病、加齢などによって身体不活動を余儀なくされる場面も多く、誰しもが運動習慣をもてるわけではない。そこで、運動・トレーニングの代替方法の開発が社会・臨床から強く望まれている。 しかし、身体不活動による骨格筋ミトコンドリアの減少を、いかにして抑制するか?といった観点からの研究は、これまでに例がない。申請者は、これまでに、運動後の温熱刺激が、持久的トレーニングによる骨格筋ミトコンドリアの増加適応を増強することを明らかにした。この研究成果は、身体不活動に伴う骨格筋ミトコンドリアの減少を抑制する方法としても「温熱刺激」が有効である可能性を示唆する。そこで本研究では、① 身体不活動に伴う骨格筋ミトコンドリアの減少を抑制する方法を、温熱刺激の可能性に着目して開発し、② その分子メカニズムを、ミトコンドリア合成系およびミトコンドリア分解系(マイトファジー)の両観点から解明することを目的とした。
現在までに得られた知見は、以下のとおりである。 1. 温熱刺激は、実験的身体不活動モデル(マウス坐骨神経切除)による骨格筋ミトコンドリアの減少および骨格筋萎縮を抑制する。2. その分子メカニズムとして、ミトコンドリア合成系の経路は関与しない3. 分子メカニズムとして、温熱刺激によるミトコンドリア分解経路の抑制が関与していることを示す結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究成果の一部は、国際学会で発表した。本研究の仮説の前提となる申請者の論文が「American Journal of Physiology - Regulatory Integrative and Comparative Physiology」に掲載された。本研究のこれまでの成果は、生理学分野のトップジャーナルである「The Journal of Physiology」に原著論文として投稿し、査読者コメントをもとに改訂中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、温熱刺激の「何が」、身体不活動に伴う骨格筋ミトコンドリアの減少を抑制したのか?これに関わる分子メカニズムの解明に挑む
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