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2014 年度 実績報告書

スプライシング調節因子SRSF3によるG1/S期制御と大腸癌細胞の悪性形質転換

研究課題

研究課題/領域番号 14J09767
研究機関徳島大学

研究代表者

狩野 静香  徳島大学, 大学院医科学教育部, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2014-04-25 – 2017-03-31
キーワードSR protein / cell cycle / proliferation
研究実績の概要

平成26年度においてはHeLa TRex細胞株を用いたテトラサイクリン誘導性SRSF3安定過剰発現細胞株を構築し、SRSF3を介した細胞増殖メカニズムの機能解析を進めた。1.SRSF3過剰発現時細胞の増殖能を検討したところ、過剰発現による有意な増殖能の亢進はみられず、細胞周期チェックポイント関連遺伝子の発現量にも有意な変化は無かった。また、2.腫瘍内微小環境モデルとしての低酸素条件及び低グルコース条件下での耐性能を検討したところ、低酸素条件下96時間後でのSRSF3過剰発現細胞の生存率は変化せず、低グルコース条件下でも有意な差は無かった。さらに、3.Doxorubicin、Etoposide、5-FUを用いて薬剤耐性能について検討したところ、SRSF3過剰発現細胞株では有意な耐性能はみられなかった。以上の結果からHeLa細胞におけるSRSF3過剰発現は細胞増殖能、低酸素耐性能、低グルコース耐性能、抗がん剤耐性能に影響せず、SRSF3単独の過剰発現はがん化をもたらさないことが示唆された。これらの研究結果はH26年度日本分子生物学会において報告した。さらに、SRSF3と同様にノックダウンにより細胞死を誘導するSRSF6についても研究を進め、4.ヒト癌サンプルにおける遺伝子発現解析の結果、大腸癌において過剰発現していることを明らかにした。5.これまでの研究で、SRSF6は酸化ストレスにより誘導され、大腸がん細胞株においてSRSF6をノックダウンすると増殖能が顕著に低下し、さらに、6.ノックダウンした細胞ではDNAダメージが誘発され細胞死が誘導されることを突き止めた。ゲノム安定性及び細胞周期の制御に極めて重要な役割を果たすことが示唆された。これらの新たな知見を基に、SRSF6の詳細な機能についてSRSF3とのインタラクションも踏まえ解明すべく取り組んでいる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成26年度においては、計画していたSRSF3を介した細胞増殖メカニズムの機能解析を進め、HeLa TRex細胞株を用いたテトラサイクリン誘導性SRSF3安定過剰発現細胞株を構築し、1.SRSF3の過剰発現が細胞周期及び細胞増殖能に影響せず、2.腫瘍内微小環境モデルでの生存率を変化させず、3.抗がん剤に対して有意な耐性能をもたらさないことを明らかにし、SRSF3単独の過剰発現はがん化を促進しないことを見出した。さらに、SRSF3と同様にノックダウンにより細胞死を誘導するSRSF6についても研究を進めた。その結果、4.大腸癌でSRSF6が過剰発現していることを明らかにした。また大腸がん細胞株において、5.SRSF6のノックダウンが増殖能を顕著に低下させ、さらに6.DNAダメージを誘発し、細胞死が誘導されることを突き止めた。これらの新たな知見を基に、SRSF6のゲノム安定性及び細胞周期の制御ついてSRSF3とのインタラクションも踏まえ、解明に取り組みインパクトの高い研究へと発展させている。これらの研究結果の一部は海外及び国内学会において発表し、論文作成に取り組んでいる。

今後の研究の推進方策

今後はノックダウンにより細胞死が誘導されるSRSF6について詳細に機能解析を行う。特にSRSF6によるゲノム安定性及び細胞周期の制御のメカニズムを解明する。ゲノム安定性の制御についてはクロマチン構造への関連を考え、Histoneとの結合を中心に解析を進める。また、細胞周期制御についてはFACSを用いてSRSF6ノックダウン時の細胞死のタイミングを明らかにし、関連する細胞周期調節因子の発現解析を進める。同時に抗SRSF6抗体を用いた免疫沈降を行いSRSF6に直接結合するターゲット因子の同定を目指す。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Transformer 2β and miR-204 regulate apoptosis through competitive binding to 3’UTR of BCL2 mRNA.2015

    • 著者名/発表者名
      Kuwano Y, Nishida K, Kajita K, Satake Y, Akaike Y, Fujita K, Kano S, Masuda K, Rokutan K.
    • 雑誌名

      Cell Death Differ.

      巻: 22 (5) ページ: 815-825

    • DOI

      10.1038/cdd.2014.176.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Oxidative stress-induced truncated serine/arginine-rich splicing factor 3 regulates interleukin-8 production in human colon cancer cells.2014

    • 著者名/発表者名
      Kano S, Nishida K, Kurebe H, Nishiyama C, Kita K, Akaike Y, Kajita K, Kurokawa K, Masuda K, Kuwano Y, Tanahashi T, Rokutan K.
    • 雑誌名

      Am J Physiol Cell Physiol.

      巻: 306 (3) ページ: 250-262

    • DOI

      10.1152/ajpcell.00091.2013.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Homeodomain-interacting protein kinase 2 regulates DNA damage response through interacting with heterochromatin protein 1γ.2014

    • 著者名/発表者名
      Akaike Y, Kuwano Y, Nishida K, Kurokawa K, Kajita K, Kano S, Masuda K, Rokutan K.
    • 雑誌名

      Oncogene.

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1038/onc.2014.278.

    • 査読あり
  • [学会発表] Function of Serine / Arginine-rich splicing factor (SRSF3) in malignant transformation.2014

    • 著者名/発表者名
      狩野静香、西田憲生、桑野由紀、増田清士、佐竹譲、藤田絹代、板井美樹、六反一仁
    • 学会等名
      第37回日本分子生物学会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜 (神奈川・横浜市)
    • 年月日
      2014-11-25 – 2014-11-27
  • [学会発表] Analysis of functional transcribed-ultraconserved regions in SR protein family.2014

    • 著者名/発表者名
      S Kano, K Nishida, Y Kuwano, K Masuda, Y Satake, K Fujita, M Itai, K Rokutan
    • 学会等名
      Cell Symposia Regulatory RNA
    • 発表場所
      Barkley (USA)
    • 年月日
      2014-10-19 – 2014-10-21

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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