研究課題/領域番号 |
14J09797
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉浦 綾香 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 動機付け / fMRI / モチベーション / プレッシャー |
研究実績の概要 |
私たちは仕事や勉強において、パフォーマンスをあげることでよりよい成果を出すことが求められており、またそれを引き出すための金銭的な報酬や社会的な賞賛など、様々な動機づけが存在している。パフォーマンスを高めることは、私たちが有意義な社会生活を送る上で非常に重要であるが、成功するための動機付けも高く、そして実力が十分に備わっているにも関わらず成績が下がってしまう「あがり」によって実力が発揮できないことに悩むことも多い。本研究は「あがり」の神経基盤を、金銭的プレッシャーに基づく場合と社会的プレッシャーに基づく場合の2種類で区別しながら明らかにするものである。基本的にはパフォーマンスに対して良い効果をもたらすとされる動機付けという要因が、過剰となった場合にはパフォーマンスを下げてしまうという矛盾した結果に対しての理論を構築することで、人間における動機付けという概念に対してより理解を深めるための研究である。 平成27年度は、研究実施計画プレ実験を2回行い、実験課題に訂正を加え、本実験を開始し、必要な被験者の半数程度のデータを取得することができた。プレ実験を繰り返すことで、コントロール条件をより厳密に定義すること、被験者が実験の意図に気づきにくいような工夫等を加える事ができた。また、その議論の中で今回着目しているあがりという現象に関して、どのように実験に落としこむか、という点だけではなく、数理的なモデルに関しての議論が進み、数理モデルを提案するまでに至った。数理モデルを考えることによって、関連する脳部位の違いだけではなく、よりメカニズムに踏み込んだ議論を可能にすると考えられる。年度末から翌年度にかけて本実験を実施中であり、必要な被験者の半数ほどのデータを取得することができた(9名)。平成28年度は引き続き実験を実施し、行動データと脳活動の解析後、国際学会での発表の後、論文を投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験を計画した際には、あがりの現象に関しての定性的なモデルに関しては議論をしていたものの、数理モデルを提案することに関しては当初の予定には無かった。だが、平成27年度に2回のプレ実験を行い、より厳密にコントロール条件等を整えていく際に、あがりの現象に関して数理モデルを提案するに至った。そのため、本実験の実施に遅れが生じてしまったが、数理的なモデルを提案することにより、よりこの現象に関する深い議論を行う事ができるようになると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、平成27年度末に開始した本実験を引き続き行い、解析を行った後、国際学会での発表と論文投稿を行う予定である。
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