研究課題/領域番号 |
14J09814
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 尚貴 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | キラリティ / 非平衡現象 / マランゴニ流 / アクティブマター / 表面張力 |
研究実績の概要 |
油滴を界面活性剤水溶液の中に分散させると、油滴内部にマランゴニ流が発生し、油滴が自発的に動きまわることが知られている。一方、キラルな液晶が温度勾配によって回転する現象である「レーマン効果」を1年目に詳しく調べていたが、対称性の議論からは温度勾配以外の場に対しても応答し回転することができるはずである。そこで、キラルな液晶を界面活性剤水溶液の中に分散させると、液晶液滴の内部にマランゴニ流が自発的に発生し、そのマランゴニ流がキラルな液晶の配向場とカップルすることで回転運動が生まれ、自発的にらせん運動を行うのではないかと期待した。実際に実験を行ったところ、自発らせん運動が観察された。さらに、液晶のキラリティを反転させるとらせん運動の軌跡のキラリティも反転することがわかり、現象がキラリティに起因するということを実験的に明らかにした。 続いて、変形する自己駆動粒子の理論モデルであるTarama-Ohta model [Prog. Theor. Exp. Phys., 013A01 (2013)] の考え方を元に、キラルな液晶液滴のらせん運動を説明する理論を対称性の議論により構築した。その結果、らせん運動に加え、他のキラルな運動が分岐現象の結果として発生することがわかった。この分岐現象に関しては、実験的検証が可能であり、次年度に検証予定である。 このように、今年度はマランゴニ流とキラルな液晶の相互作用を実験・理論の両面から調べることによって、キラルな液晶と場の相互作用に関して新たな知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
前年のレーマン効果の実験結果を踏まえ、キラルな液晶がマランゴニ流によって自発的にらせん運動を行うことを発見し、キラルな液晶の非平衡現象への理解をさらに深めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
キラルな液晶液滴の自発らせん運動の理論モデルの分岐現象の実験的検証に加え、キラルな液晶の温度勾配下での回転運動における流体場を詳細に測定する。
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