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2016 年度 実績報告書

「社会問題」の構築および合意形成過程の分析-創作物の性描写規制を事例として

研究課題

研究課題/領域番号 14J09826
研究機関東京大学

研究代表者

佐藤 寿昭  東京大学, 情報学環・学際情報学府, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2014-04-25 – 2017-03-31
キーワード社会問題の社会学 / 社会問題の構築主義アプローチ / レトリック分析 / ディベート論 / 性表現 / コンテンツ文化
研究実績の概要

採用者は「社会問題」と呼ばれる様々な問題を人々が議論し、合意を形成する際、それはいかにして達成されるのかという問いのもと日本のマンガ作品の性表現規制論争を事例に研究を進めている。平成28年度は①2010年の東京都青少年条例改正案をめぐる論争の分析、②日本のマンガの性表現規制を支えるレトリックの歴史的変化の研究を進めた。

①2010年の東京都青少年条例改正案をめぐる論争の分析では、「相手のクレイムの一部を自説に取り込むことで相手のクレイムとは異なる結論を申し立てる」という反論戦術が同論争を方向づけた要因の一つであることを指摘した。競技ディベート論で「リンク・ターン」と定義されるこの反論戦術は対立するクレイム申し立て者の間で前提を構築し対立点を明確にする。本研究ではこの反論戦術を社会問題の論争分析の方法論である社会問題の構築主義アプローチに位置づけた。この成果は2016年11月発行『情報学研究』第91号に論文として掲載された。

②戦後日本においてマンガの性表現を規制するに際してどのようなレトリックが用いられてきたのか、その歴史的変化を分析した。第一に戦後すぐ「社会問題」となった「子どもに悪影響を及ぼす」いわゆる「悪書」規制論争からマンガの性表現が特定的に「問題」とされていった経緯、第二に1990年代当初は公共の場における広告批判に用いられていた「女性の性の商品化」というレトリックがマンガの性表現批判にも用いられるようになっていった過程、第三に国際会議を端緒として国内で用いられるようになった「児童ポルノ」というカテゴリーにマンガの性表現を含めるか否かという論争の三点を中心に分析した。この時、それぞれの論に反対する過程でマンガの性表現を「日本固有の文化」として主張するレトリックが徐々に構築されていった。それぞれの分析結果は2017年度中に個別に論文化する予定である。

現在までの達成度 (段落)

28年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

28年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] 「社会問題」の論争における「リンク・ターン」の特徴と作用――2010年東京都青少年条例改正論争を事例として2016

    • 著者名/発表者名
      佐藤寿昭
    • 雑誌名

      東京大学大学院情報学環紀要 情報学研究

      巻: 91 ページ: 13-28

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり

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公開日: 2018-01-16  

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