研究課題/領域番号 |
14J09924
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
權 偕珍 立命館大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 障害者雇用 / 評価指標 / 評価尺度 / 障害者のQOL |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、QOLの観点に基づいた障害者雇用促進制度・政策の評価指標や尺度を開発することが第一の目的である。さらに、開発された指標や尺度を用いて制度・政策の現状の分析評価、専門家調査を行い、今後の課題を明らかにする。その内容を踏まえ、QOLの観点に基づいた障害者雇用促進制度モデルの再構築のための提案を行うことが第二の目的である。 2014年度は、第一の目的であるQOLの観点に基づいた障害者雇用促進制度・政策の評価指標・尺度の開発に関する研究を行った。日韓の障害者雇用促進制度・政策を客観的に評価するための指標を開発し、開発された指標を基に、障害者雇用促進制度・政策を主観的に評価するための尺度(試案)を開発した。さらに、指標や尺度に関する今後の研究課題を提示した。 QOLの観点に基づいた障害者雇用促進制度・政策の評価指標についてはEmployment Promotion System Assessment Indicator for Persons with Disabilities from the Perspective of Quality of Life(QOL-EPAI)と名付け、尺度についてはEmployment Promotion System Assessment Tool for Persons with Disabilities from the Perspective of Quality of Life(QOL-EPAT)と名付けた。 以上の研究により、今後の研究課題も明らかになった。第1に、QOL-EPAIを用いて、日韓の障害者雇用促進制度・政策の評価分析を行う必要があること。第2に、QOL-EPAT(試案)の信頼性・妥当性の検証が必要であること。第3に、QOL-EPATを用いて、日韓の障害者雇用促進制度・政策に関する両国の専門家による評価作業を行う必要があること。第4に、QOL-EPAIによる評価分析の結果とQOL-EPATによる評価分析の結果を踏まえ、障害者雇用促進制度・政策の発展的課題を提示し、障害者雇用促進のための再構築モデルを提示する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
QOLの観点に基づいた障害者雇用促進制度・政策の評価指標・尺度の開発という当初の計画は達成した。日本と韓国の障害者雇用促進制度・政策において、QOLの観点を取入れることが妥当であるかに関して検討を行い、知見を得て、指標や尺度の項目を収集・作成した。作成された指標と尺度を日本と韓国の障害者雇用について研究している大学教員等の専門家や障害者、保護者等を対象に理論的、論理的に評価・判断してもらい(内的妥当性の検証)、QOLの観点に基づいた障害者雇用促進制度・政策の指標・尺度(試案)の開発ができた。
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今後の研究の推進方策 |
博士後期課程2年次・前期には、開発した指標(Employment Promotion System Assessment Indicator for Persons with Disabilities from the Perspective of Quality of Life:QOL-EPAI)を用いて日韓の障害者雇用促進制度・政策を評価し、日韓の比較分析を行う。さらに、評価、比較分析から得られた結果に基づいて、制度の再構築のための日本と韓国の障害者雇用促進制度・政策の課題を提示する。 ・研究対象:日本と韓国の障害者雇用に関わる法令・制度・政策を分析対象とする。 ・研究方法:本研究者が指標(QOL-EPAI)の各項目と照らし合わせ、各項目の内容に合致する内容をそれぞれの法律及び制度・政策から抽出する。また、抽出された内容が指標(QOL-EPAI)の各項目と適合性があるかについての検証は、本研究者、研究協力者等による協議によって確認するものとする。評価分析から得られた日本と韓国の障害者雇用促進制度・政策の課題を提示する。学術誌、学術大会などにて研究成果の報告を行う。 博士後期課程2年次・後期には、専門家調査により、尺度(Employment Promotion System Assessment Tool for Persons with Disabilities from the Perspective of Quality of Life:QOL-EPAT)の信頼性(内的整合性)・妥当性(構成概念妥当性)の検証や尺度を用いて両国の制度・政策の評価分析を実施する。 ・研究対象:日本と韓国の障害者雇用に関わる専門家、それぞれ約100名程度、両国合わせて200名程度を調査対象とする。 ・研究方法:尺度(QOL-EPAT)を専門家に配布し、尺度(QOL-EPAT)に対する信頼性・妥当性を検証し、さらに日本と韓国の障害者雇用促進制度・政策に対する評価を実施する。統計処理は、SPSS及びAmosを用い統計学的に分析する。さらに、評価分析から得られた日本と韓国の障害者雇用促進制度・政策の課題を提示する。学術誌、学術大会などにて研究成果の報告を行う。
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