研究課題
言語と数学の木構造の相互作用によるクロスドメイン構造プライミング効果を調べるため、左右枝分かれ構造を持つ数式および文の課題セットを作成、実験ができるような課題の組み合わせを考えた。2015年8月~9月にかけて、34名の被験者に対し実験を行った。そのうち17名は理系の被験者、残り17名は文系の被験者であった。結果を解析したところ、理系の被験者においてのみ、正解率と反応時間双方で有意なプライミング効果がみられた。さらに、同じ実験パラダイムを用いて、2015年11月から12月にかけて、20名の右利き理系被験者に対しfMRIによる実験をおこなった。結果を解析したところ、左右の下前頭回において、プライミング効果にともなう神経活動の抑制効果がみられた。下前頭回は、専攻権きゅで言語の文法操作に関わる活動が報告されている領域であり、今回みられた神経活動が数学と言語の文法的な相互作用に伴うものであることが示唆される。この結果を2016年3月のEVOLANG11で発表し、発表内容は学会のProceedingsとして出版された。さらに、昨年度から引き続き、数学・言語処理に付随する動機づけおよび情動に関する実験データの解析を行った。課題実行中の脳活動と課題に伴う達成感の相関を調べたところ、左右の尾状核に有意な相関がみられた。左右尾状核は報酬や価値判断をつかさどる領域とされる。したがって、これは数学・言語課題の達成感が課題の正誤認知による報酬系の活動に基づいていることを示唆する結果である。この結果を、2015年8月に認知神経科学会の学術集会および同年11月の自己制御精神に関するワークショップにおいて発表し、Young Investigators Awardを受賞した。さらに、この実験結果に関して論文を執筆し、2016年2月にPLOS ONE誌に投稿を行った。現在は編集者からの査読返答待ちである。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件)
The Evolution of Language: Proceedings of the 11th International Conference (EVOLANG11)
巻: なし ページ: 1-3