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2016 年度 実績報告書

精神障害者の運動の現代史--抑圧への抵抗実践からの問い直し

研究課題

研究課題/領域番号 14J10211
研究機関立命館大学

研究代表者

桐原 尚之  立命館大学, 先端総合学術研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2014-04-25 – 2017-03-31
キーワード障害学 / 狂気論 / セルフヘルプ / クレイム申立て活動 / 現代史 / 闘争理論 / 社会運動論
研究実績の概要

これまで精神障害者の社会運動に関する歴史研究は、精神医学の一部や社会福祉学の枠内等で検討されてきており、精神医学の進歩史上の一事象や社会福祉の価値の正当化のための歴史として叙述されてきた。そのため、これらの目的に反する実践の記録の大部分は歴史から意図的に除外されてきた。障害学は、障害を医療や福祉の対象とする枠組み――医学モデル――からの脱却を目指す試みであり、上述のような従来の歴史認識を批判し、障害の観点から歴史研究をすることが志向される。しかし、現在の障害学は精神障害者の不利益を捉えられる枠組みにはなっておらず、従来の歴史に批判を加えるための基盤となる理論が存在しないという点で問題がある。本研究の目的は、精神障害者の社会運動の現代史を通じて、そこから示唆される知を明らかにすることである。対象範囲は、1960年代後半から2000年代前半までとし、全国「精神病」者集団の歴史を中心とする。
第一に精神障害者の社会運動は発生し活動を続けてきたのかという集団形成の歴史を記述した。そこから運動が発生した理由、集合的アイデンティティの設定過程、設定された価値を分析した。その結果、精神障害者の社会運動は、精神障害者の生命を守り人権を回復すること、協調からの逸脱という精神障害者像に基づき精神障害者同士の助け合うことを志向した運動であったことを明らかにした。
第二に精神障害者の社会運動は何を求めたのかという主張の歴史を明らかにした。そこから何を批判対象となる価値規範や不利益と措定し、いかなる負担をどのように分散することを求めたのかを分析した。その結果、精神障害者の社会運動が求めたことは、「関わることを止めないこと」を求めた運動であったことを明らかにした。
第三に精神障害者の社会運動の歴史を記述したことによって従来の医学や社会福祉学の歴史認識にどのような変更が加えられるのかを明らかにした。

現在までの達成度 (段落)

28年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

28年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] [参考資料]障害者権利条約と成年後見制度2017

    • 著者名/発表者名
      桐原 尚之
    • 雑誌名

      生存学研究センター報告

      巻: 28 ページ: 80-87

  • [雑誌論文] 第9回成年後見制度/意思決定支援の論点2017

    • 著者名/発表者名
      立岩 真也・桐原 尚之
    • 雑誌名

      生存学研究センター報告

      巻: 28 ページ: 56-70

  • [雑誌論文] 認知症と精神医療及び慢性期疾患医療の政策の動向2017

    • 著者名/発表者名
      桐原 尚之
    • 雑誌名

      大阪精神医療人権センターニュース

      巻: 133 ページ: 8

  • [雑誌論文] 他人の介入によって立ち現れるカタストロフィ――ディスアビリティの解消をめぐって2016

    • 著者名/発表者名
      長谷川 唯・桐原 尚之
    • 雑誌名

      立命館言語文化研究

      巻: 28(1) ページ: 243-254

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] “役に立たない”“危険な人間”二つの苦しみ――精神障害者の立場から捉えた津久井やまゆり園事件2016

    • 著者名/発表者名
      桐原 尚之
    • 雑誌名

      現代思想

      巻: 44(18) ページ: 174-179

  • [雑誌論文] 最近流行りのオルタナティブと意思決定支援に対する反論2016

    • 著者名/発表者名
      桐原 尚之
    • 雑誌名

      現代思想

      巻: 44(17) ページ: 214-218

  • [雑誌論文] 精神保健福祉法改正をめぐる”権利擁護者”の位置について2016

    • 著者名/発表者名
      桐原 尚之
    • 雑誌名

      大阪精神医療人権センターニュース

      巻: 129 ページ: 6-8

  • [雑誌論文] 眠れない休めない――精神障害者の休息・睡眠を阻む社会2016

    • 著者名/発表者名
      桐原 尚之
    • 雑誌名

      支援

      巻: 6 ページ: 167-171

  • [学会発表] Re-examining the Utility Value of Mechanical Ventilators to Enable the Long-Term Survival of ALS Patients2016

    • 著者名/発表者名
      HASEGAWA Yui, KIRIHARA Naoyuki, NISHIDA Miki, SAKAI Miwa,
    • 学会等名
      The 27th International Symposium on ALS/MND
    • 発表場所
      Dublin Convention Center(Ireland)
    • 年月日
      2016-12-08 – 2016-12-09
    • 国際学会
  • [学会発表] The Alternatives to Psychiatry in Japan2016

    • 著者名/発表者名
      KIRIHARA Naoyuki, RYUGAN, KATO Makiko, YASUHARA Soichi, YAMADA Yuhei, KINOSHITA Tomo, YAMAMOTO Kiyoshi, SAKANE Teruyoshi, KAYA Satoshi, TANIGUCHI Mayu, SHIRATAKI Yasuko, ITO Kasumi, HASEGAWA Yui,
    • 学会等名
      International Network Toward Alternative and Recovery 2016
    • 発表場所
      Lavasa International Convention Center(India)
    • 年月日
      2016-11-26 – 2016-11-28
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 精神障害による辛さの社会モデル2016

    • 著者名/発表者名
      桐原 尚之
    • 学会等名
      障害学会第13回大会
    • 発表場所
      東京家政大学(東京都・板橋区)
    • 年月日
      2016-11-05 – 2016-11-06
  • [学会発表] 日本の精神障害当事者の運動とオルタナティブ・アプローチ2016

    • 著者名/発表者名
      桐原 尚之
    • 学会等名
      第59回病院・地域精神医学会大会
    • 発表場所
      練馬区文化センター(東京都・練馬区)
    • 年月日
      2016-10-13 – 2016-10-13
  • [学会発表] Adult Guardianship, Supported Decision-making and Good Practices in Japan2016

    • 著者名/発表者名
      KIRIHARA Naoyuki
    • 学会等名
      East Asia Disability Studies Forum 2016
    • 発表場所
      Colloquium, Ritsumeikan University Osaka Ibaraki Campus(大阪府、茨木市)
    • 年月日
      2016-09-22 – 2016-09-23
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Considering Assisted Decision Making from the Perspective of Equality with Others2016

    • 著者名/発表者名
      HASEGAWA Yui・OKABE Hiroki・NISHIDA Miki・KIRIHARA Naoyuki
    • 学会等名
      East Asia Disability Studies Forum 2016
    • 発表場所
      Colloquium, Ritsumeikan University Osaka Ibaraki Campus(大阪府、茨木市)
    • 年月日
      2016-09-22 – 2016-09-23
    • 国際学会
  • [図書] 生存学研究センター報告29 障害学国際セミナー2016――法的能力(障害者権利条約第12条)と成年後見制度2017

    • 著者名/発表者名
      長瀬 修・桐原 尚之・伊東 香純
    • 総ページ数
      303(編著のため全体の編集を担当)
    • 出版者
      立命館大学生存学研究センター

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公開日: 2018-01-16  

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