研究課題
申請者は前年度に引き続き本年度も、研究課題である『赤外線変光観測を用いた大質量星形成時の内部構造進化の解明』の遂行のために、研究を行ってきた。具体的には、「近赤外線を用いた大質量星原始星のモニタリング観測」である。具体的には、共同研究グループの運用する複数の国内望遠鏡に搭載された近赤外線装置を用いた観測より得られたデータを追解析・考察し結果を研究会で発表した。大質量原始星から観測される近赤外線は、大質量原始星からの放射が、原始星に付随するアウトフローエンベロープ内のキャビティにて散乱されたものであると考えられている。即ち、大質量原始星自体の放射が散乱光観測を用いてモニタリング可能である。前年度までの観測研究において、申請者は初めて大質量原始星の近赤外線の100日以上にわたる高頻度モニタリング観測を3天体に対して行い、いずれの天体に対しても初めて近赤外線での光度変動現象を検出した。今年度に行った追解析と結果考察により、そのうち一天体の光度変動の現象が密度構造を持つ円盤構造の回転による視線方向減光量の増大由来であるという示唆を得た。これは、大質量原始星形成期に付随する円盤構造を探る上で非常に興味深い結果である。また、今冬から今春にかけてこれまで得られた観測結果の信頼性を検証し、より長期的な光度変動を調査するために、再度共同研究グループの所有する望遠鏡を用いた近赤外線観測を実施している。この観測の解析結果によってこれまでの結果の信頼性が増すとともに、光度変動情報から形成期の大質量原始星とその周辺構造について新たな知見が得られることが期待される。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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