研究課題/領域番号 |
14J10302
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三宅 泰斗 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 加速器質量分析 / 負イオン / レーザー / 環境影響評価 / 福島第一原発事故 / 土壌 |
研究実績の概要 |
本研究では、「加速器質量分析法におけるレーザーを用いた同重体分離システムの開発」を目指している。研究の概要は、加速器質量分析法において、加速器入射前にてイオンとレーザーを反応させることにより、同重体のみを選択的に中性化し目的核種のみを加速器に入射させることのできるシステムを製作することである。本技術により、これまで測定が困難であった核種が測定可能になり、既存の測定核種についてもより高感度で測定できるようになることが期待される。同重体の抑制にはイオンビームとレーザーを十分に反応させる必要があり、本研究ではそのための負イオン減速チャンバーの開発を主な目的としている。 負イオン減速チャンバーの開発方針としては①テストベンチの製作、②AMSラインへの組み込み・実サンプル測定の2つの段階に分けて展開する予定であり、この他に③検出器の改良を行い、システムの効率化を図る 。初年度のそれぞれの研究実施状況について述べる。 ①について、テストベンチの製作に先駆けて、イオンとレーザーを反応させるための減速チャンバーの設計を行った。設計にはイオン光学系設計ソフトを用い、減速チャンバーの構成要素である減速電極、加速電極、四重極電極に関する計算を行い、デザインの最適化に取り組んだ。 ②について、減速チャンバーの導入に先駆けて、東京大学タンデム加速器施設のビームラインの光学系の計算を行った。減速チャンバーの設置箇所として最適な位置を決め、導入の際に考えられる問題等の検討を行った。 ③について、今年度は検出器の改良は行わなかったが、測定の際に用いるガス充填型電磁石内でのイオンの挙動について調査した。これにより塩素36を測定する際に妨害成分を除去し、かつ測定効率を上昇させることを目的とした。同時に、求めた条件下にて実サンプルの測定も行った。 これらの成果については適宜学会や学術誌にて発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画では、初年度で減速チャンバーを作成する予定であったが、装置の製作に関する予算の関係上、設計のみに終わった。設計に関して概ね完了したため、すぐにでも製作に取りかかれる状況である。製作が完了次第、2年目の予定である実験も行えると考えられるため、研究の進捗はほぼ予定通りであるといえる。 検出器の改良に関しても定期的に塩素36の測定を行い、検出器を含む検出部の改良を行えたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
減速チャンバーの設計については、すぐにでも製作を開始し、完了次第実験を行う予定である。 検出器の改良に関しても前年度同様に行う。
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