研究課題/領域番号 |
14J10474
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮下 令央 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
キーワード | レーザー計測 / 任意物体 / 非接触計測 / 運動計測 / ロール / ブラー相殺 / 像回転素子 |
研究実績の概要 |
1.多重化レーザーによる任意物体の3次元運動計測システムの開発 レーザー距離計とレーザー速度計を多重化したセンサーを用いて、対象の形状やテクスチャ等の情報に依らず非接触かつ高速に対象の3次元運動を計測するシステムを開発した。本システムは対象の事前情報なしに、レーザーを照射するのみで任意の剛体の回転や並進を計測することができるため、様々な分野での活用が期待できる。その例として、本システムを用いたモーションキャプチャシステム、任意物体をユーザーインターフェイスとして使用するシステムを開発した。本研究課題においては、対象の形状や反射特性等をスキャンする際の情報の空間的な統合に活用することができる。
2.ロールカメラを用いた回転ブラー相殺撮像システムの開発 ダブプリズムと中空サーボモータを用いて、高速回転する対象の像を鮮明に捉えることが可能なシステムを開発した。本システムは像回転素子を用いて光学的に像を回転させることによって、相対的に対象の像を静止させることができるものであり、本技術により、回転する物体の撮像に限らず、回転する物体の計測、回転する物体への投映等、従来のビジョン、プロジェクション技術をそのまま回転物体に適用することが可能となる。本研究室で開発されたサッカードミラーと組み合わせることで、対象の剛体運動の自由度のうち3軸を相対的に静止させることができるため、本研究課題において、高速運動する対象へ映像を投影して情報を付加する際に、時空間的整合性を向上させることができる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は一様な反射特性をもつ物体だけでなく、空間的に不均一な反射特性をもつ物体を扱うことを目標としている。このように空間的に変化する対象の形状や反射特性等の計測を物体走査によって実現する場合、センサや対象の運動等に応じた情報の空間的な統合が必要となる。しかし、従来のセンサでは、人間によって自由にマニピュレーションされるような未知の対象とセンサ間の相対的な運動を把握するのは困難な問題であった。 本年度の研究実績である任意物体の3次元運動計測システムは多重化レーザーを用いて確定的に計測した運動速度を解析することによりこの問題を解決しており、本研究課題を大きく前進させたと言える。 また、得られた情報を再提示することも本研究課題のひとつである。 本年度の研究実績であるロールカメラを用いた回転ブラー相殺撮像システムは高速運動する対象へ映像を投影して情報を再提示する際に、時空間的整合性を向上させることができ、本研究課題の達成に貢献するものである。
|
今後の研究の推進方策 |
採用初年度に物体がもつ視覚的情報のひとつである反射特性の計測に関する研究を行い、本年度はその処理や統合に関する研究を行った。来年度は計測した情報を統合して得られた反射特性を提示する技術の開発を行う。従来のディスプレイは解像度やダイナミックレンジが制限されているだけでなく、ユーザーの視点や光源環境の変化に応じた表示を行うことができないため、現実感のある反射特性の提示を行うことができなかった。すなわち、反射特性を計測しても十分にその情報をユーザーに伝えることができなかった。そこで本研究課題では、人間の視覚特性と光源のマイクロ秒オーダーの高速制御を利用し、没入感のある反射特性提示システムの開発を行う。
|