研究課題
本研究の目的は、結晶の持つ対称性に保護された表面状態を持つトポロジカル物質の物性を理解し、従来のトポロジカル絶縁体やトポロジカル超伝導体にないユニークな現象を明らかにすることである。本年度はまず昨年度に引き続きディラック半金属における超伝導に関して研究を行った。ディラック半金属は4重縮退したバルクディラック点を持つ物質であり、波動関数が運動量空間でトポロジカルに非自明な構造を持つことに起因して、表面を作ると、ディラック点をつなぐように表面状態が現れる。ディラック半金属は最小でスピンと2つの軌道を考慮した4×4行列のディラック方程式であらわすことができるが、有効軌道の違いで大きく3種類に分けることができる。昨年度はそのうちs軌道とp軌道が有効軌道であるCd3AS2型ディラック半金属について、研究を行った。それらの結果を本年度の初めに論文としてまとめ、アメリカ物理学会のPhysical Review Bという雑誌に掲載された。また、本年度は有効軌道が、s軌道とd軌道からなるディラック半金属中で起こる超伝導について研究を行った。Cd3As2型ディラック半金属同様バルク電子状態から表面電子状態まで体系的に理解することができた。特に、これまでのトポロジカル絶縁体やディラック半金属とは異なり、軌道表示で波数依存しない超伝導ペアを考えた場合でも、軌道間引力が強い状況でd波超伝導が実現することを明らかにした。また、トポロジカル絶縁体上のジョセフソン接合やスピン分裂した超伝導体のジョセフソン接合についても研究を行った。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Physical Review B
巻: 94 ページ: 014510, 014526
https://doi.org/10.1103/PhysRevB.94.014510