研究課題
DNA損傷に対する細胞応答研究として、相同組み換え修復の一つの過程である「DNA末端リセクション」に着目した。DNA末端リセクションにおいて中心的な役割を果たすのが、CtIPとよばれるタンパク質であり、リセクションの初期のDNA末端の削り込みに関わると考えられているが、DNA損傷修復におけるCtIPの全体の機能はまだ分かっていない。本研究ではCtIPタンパク質の新しい機能に着目し、CtIPの新たな挙動を明らかにすることを目的とした。今年度は以下の4点の検討を行った。1.放射線照射後のCtIPのリン酸化レベルの検出、2.DNA損傷部位にリクルートされるCtIPのフォーカス形成の時間的変化、3.DNA損傷部位でのCtIPのフォーカスのターンオーバーの可能性、4.フォーカス形成後のATM/ATRキナーゼによるCtIP機能の制御に関する検証である。その結果、CtIPは放射線照射直後にはATMにより高リン酸化作用を受け、その後は長時間に渡りATMおよびATRの重複した活性により低リン酸化作用を受けていることが分かった。照射後4または8時間の比較的遅い時間帯では、CtIP分子はDNA損傷箇所において合成と分解を繰り返すダイナミックな挙動を持っている結果が得られた。これは照射後30分の比較的早い時間帯での高リン酸化状態や、制御キナーゼが初期で機能している時とは異なるといえる。これらの結果はこれまで報告されているCtIPの機能・役割とは異なる、新たな挙動といえる。今後はこのCtIPの新たな挙動が何を意味するのか検討していく必要がある。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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